ミラーマンの16話から特殊技術を担当したのが矢島信男。
矢島信男といえば松竹出身で東映での仕事の印象が強いのだが、ミラーマン
の16話・人形怪獣キンダーを追えから円谷作品に参加し最終回を含めて19話
分を担当している。
矢島信男の特撮といえば映像的には下からの煽るような撮り方をするし、怪獣
などが体のパーツを飛ばして攻撃するシーンが印象深い。
後から聞くところによれば氏のスタイルは絵コンテを用いた独自の撮影方法で
現場のセッティングを変えないまま可能な限りのカットをまとめ撮りするので、
撮影期間を短縮して編集によって映像の流れを組み立てて行くのでコストが
かからなくて済むらしい。
当時の円谷はウルトラシリーズとミラーマンの掛け持ちをしていた関係で予算
的には厳しい状況だったから氏の参加は円谷にとっても助かったようだ。
そして6月に3機分離合体する大型戦闘機のジャンボフェニックスが登場する
のだが、メカの分離合体シーンの元祖がキャプテンウルトラのシュピーゲル号の
分離合体は氏の仕事だったので手馴れたものだっただろう。
どうしてもウルトラの特撮は高野宏一をメインに的場徹や大木淳・佐川和夫ら
ウルトラQの頃からの伝統があるので違った事をやりづらいのだろうが、ウルトラ
ではないミラーマンだからこそ違った撮り方が容認されたのではないかと思う。
ミラーマン終了後は同じ淡豊昭プロデュースのジャンボーグAで50話中 半分の
25話を担当すると、74年からウルトラにも参加しタロウで4話を担当した後レオ
でも18話を担当。
特にレオでは にせアストラ編や最終回の特撮を担当している。
そういう意味では円谷の どんどん新しい物を取り入れる意欲が垣間見えるし、
いい物を作るのには系列会社の枠に拘らない姿勢が素晴らしい。
だからミラーマンを見る時は高野宏一の円谷伝統の撮り方と、矢島信男独特
の撮り方の両方を楽しむ事ができるのだ。