




漆原「私には、3つ離れた弟がいたんです

過去形か・・・。
円「それが、たけしくん

漆原「ええ

交通事故で亡くなってしまいました・・・。
・・・・・彼を殺したのは私なんです

円「えっ

漆原「・・・その日は、両親も出かけていて
久しぶりに弟と二人、ファストフードへ行き、
飯を食べながら話をしていました

そこで、弟からある相談を受けたんです

円「相談

漆原「・・・弟は、学校で虐めにあっていた
らしいのです

私は、弟が虐められていたショックと
情けなさで、あろうことか弟を責めて
しまった・・・。
弟は眼に涙を浮かべながらお店を飛び出し
店を出た後すぐに、左折してきたトラック
に跳ねられ・・・・・

原因は、信号を無視した弟の飛び出しに
よるものでした・・・。
私は・・・私さえちゃんと弟の言葉に
親身になっていれば

気持ちに応え答えていれば・・・・・・

今頃あいつは・・・・・悔やまれて
なりません・・・

円「・・・・・・・

透明「漆原さん・・・・・。」
漆原「すみません


透明「漆原さん


漆原「はい

透明「たけしくんのお墓、この施設の下に
あったんじゃないですか

円「

漆原「な、なんでそれを

透明「やはりそうでしたか

あそこに立派な大木がありますよね

あの木はその時のなごり、否

この施設を作るときに切れなかった
ものですよね

漆原「・・・・・はい・・・

円「どういうこと

透明「あの木は、霊達の宿り木になっている

多分、相当数の霊達が身を寄せ合い
あの大木に移し身をおいているんだ

その数からいっても、ここはお墓
だった可能性が高いと想ったんだよ

自殺者だけなら流石にあんなには居ない
だろうからね

漆原「おっしゃる通りです

この木は、たけしが入っていたお墓に
あったものです

もちろんお墓は別の場所に移したのですが、
工事が始まり、この木を撤去しようと
した業者が次々と・・・。」
円「まあ、よく聞く話よね~

透明「もう一つ聞いてもいいですか

漆原「

透明「たけしくんが成仏されていないと
誰に聞いたんですか

漆原「


・・・・・全て見透かされて
いたんですね・・・・・・

私の知り合いに、霊能者がいまして
その方に聞きました・・・。
私は、そのことを聞いてから
いてもたってもいられなくて・・・
職権乱用かもしれませんが、私は・・・

円「なるほどね~

あっ



円「漆原さんは、その弟さんを成仏させて
あげたいっていうことか~

でも、どうしてその霊能者に今回のこと
頼まなかったの

漆原「実は、頼みに行って企画が通る寸前に
その方も亡くなってしまって

理由はわかりませんが、突然の急死
だったらしいのです

円「

透明「・・・・・・。」
私と円は、背筋が凍る

多分その霊能者、ここに来たのだろう・・・。
しかし、これは私達のような仕事を受ける
人間には当たり前に付きまとう危険

決してクライアントに負担をかけて良いもの
ではない・・・。
私達は、そのことを漆原さんに悟られないように
話を続けた・・・・。
続く・・・。
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