箱庭
・４透明「・・・これって、さっきなかったか
」道の横に、赤い印のようなものが・・・。
たぶん、区画整理の為のものだと思うが、
この印だけは少し欠けていたから覚えている
透明「いやいやいやいや
流石に無いだろう
これだけ広ければ、同じような破損は
あるだろうから、気のせいだ
」そう考え直し、再び速歩きで歩き出す
透明「・・・・
」円「はぁ
」透明「う、嘘だろ
」何で、円が目の前に・・・。
円「早かったわね
連絡ついたの」透明「い、いや
ちょ、ちょっと尋ねるがお前、さっきの場所から動いてないよな
」円「はぁ
何言ってるのよ」透明「(間違いない・・・知らぬうちに戻ってきてる
)」円「
」透明「す、すまん
もう一度行ってくる」円「はぁ～
何やってるのよ
あっ
ちょっと・・・一体なんなの」また同じ方向へ歩みを進める・・・。
透明「今度は、自分の位置をしっかり確認しながら・・・。」
私は慎重に方位を測りながら歩いて行く
透明「(やっぱり・・・
出発した時、向かった方向は南
今は少しずつ南南西にズレていっている・・・。
見た目は完全に直線なのだが
これだけ広大な土地となれば距離をとれば
円を描き、徐々に元の場所へ戻ってしまう
その上、目視できる目印が無いから
自分が曲がっていることにも気付きづらい・・・。
からくりさえわかれば、ここはこっちの
畦道に入って進むのが正解か
)」田畑の途中に舗装されていない畦道がある
私はその道を進むことに・・・。
透明「あっ
民家があるよし
何とか抜け出したぞ
」民家さえ見えればこちらのもの、あとは
家を目指して走るだけ・・・と思ったら・・・
円「おお～～い
」透明「えっ
」一台の軽トラがこちらに向かってくる
荷台には円が積まれており、手を降っている
「バタン
」軽トラは私のすぐ近くで止まり、中から
慌ててお坊さんが降りてくる・・・。
栄慶「と、透明さん
本当に申し訳ない
私が少し遅れたことで沢山歩かせてしまって
」透明「はぁ～～～～～～っ
」結局、依頼主の遅刻でエライ目にあったが
こういった経験も大切な学びと思い、渋々納得する。
それから私達は、軽トラに乗って少し小高い丘にある
古いお寺へ
栄慶「ささっ
こちらです
」軽トラから降りた私達はお寺の中へ
見た目は古いが、中はかなり立派な寺だ
続く・・・。
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