沙河無二の輪会(さかむにのわかい)・１６

沙河無二の輪会(さかむにのわかい)・１６


透明「・・・か、身体が・・・動か・・・」


視線を戻した先には、先ほどとは違う

禍々しい黒い気質を纏った掛け軸が


透明「(ば、馬鹿な呪力の元はもう無いはず

　　　　・・・くっ声も出せない)」


私の身体全体に何かが絡みついてるように視える


透明「(ま、まさか・・・)」


掛け軸の絵から伸びたそれは、蛇と女性の髪の毛のようだ


透明「(はぁ・・・よく考えれば、わかったはずなのに

　　　この呪物は、彼が想いを込めただけでなく、

　　　それを強い呪物として半魂を定着させた協力者

　　　呪術師が裏にいたんだ)」


何百年と呪力を保つための媒体と動力・・・通常

自然発生で呪いが発動し呪物となったものでも

この２つが揃っていれば、呪物として

存在し続けることはできるが、さすがに

長い年月が経てば弱まることが多い

それなのに最初に視た時から、これほど強い

呪物であれば、呪いの力を維持する術式が

組み込まれていると疑うべきだった


透明「(ああ～もう私の馬鹿ドジ間抜け

　　　自分にイライラする～～～～～っ

　　　はぁ～～～っ・・・反省はここまで

　　　取りあえずこの呪縛から抜けないと・・・)」



呪縛は呪力によりもたらされるもの

つまりは、これも脳への霊波による攻撃である

しかし、プロの呪術師によるものは、そうそう

解けるものではなく、非常に強い暗示となり、

脳が縛られている認識を外すことができない

その上、脳が完全に支配されれば、首を締められている

と錯覚を起こし、実際に窒息することさえある


透明「(グググッ・・・よし

　　　まだ少しだけ腕は動かせる

　　　完全に脳が支配はされていない・・なら)」

私はまだ何とか動く腕を伸ばし、反対の手を掴む


「ボキッ」


嫌な音がこだまする・・・。



　　　　　　　　　　続く・・・。

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