昨日の豆まきでさすがのじいもヘロヘロ気味 その上、「福は~うち」の内野さんの声がエンドレスで聞こえてきて。。。マイクを通さない生声の後遺症、油断ならないことをすっかり忘れていました こんな状態で観劇とは失礼か と思ったけど、今年初の観劇だし、北村有起哉さんの舞台を観たかったし~~ってことで満身創痍行ってまいりました。2007年お初の観劇記でございますぅ~~ で、最初にいつもの注意 ネタバレありなので、これから行くの~という方はご注意くださいませ
舞台は1946年7月~1947年11月のNHK@内幸町の脚本班分室と放送用語調査室。(以下はサイト引用)
誰もがラジオを聴いていた。戦時中は「大本営発表」、8月15日には「玉音放送」。敗戦。
東京放送会館は、建物の上半分を占領軍・CIE(民間情報教育局)に接収されるが、ラジオの声は、焦土のすみずみにまでこだました。日本放送協会の一室に積み上げられた投書の山。それは、戦争で離れ離れになった肉親、知人の消息を尋ねる人びとの「声」だった。この無数の「声」を、「ラジオを通じて全国に送り届けたい」。こうして新番組「尋ね人」が始まった。昭和二十一年、七月。日本は混乱と困窮のただ中にあった。日系二世のフランク馬場(佐々木蔵之介)は、占領下日本の放送を監督するCIEのラジオ担当者。「尋ね人」を担当する脚本班分室では、フランクと三人の女性職員を中心に、組合のストライキ運動や放送用語問題も飛び交って、次から次へ騒動が巻き起こる。そしてその間にも、投書は続々と寄せられてくる。さらにここへ不思議な男(川平慈英)が登場する。この男、「ラジオで私をさがしてほしい」というのだが・・・・・・。
歌あり、笑いあり、大事な言葉あり、と井上作品らしい舞台でした。(初日が延期になったのも妙に納得……井上センセですから)舞台の下手にピアノがあって生演奏で舞台が進行。その場のテンションが上がったところで歌い始めるんですけど、突然歌いだす不自然さもなかったし、短いけれど観ている方も一緒に踊りたくなるような歌がいっぱいでした 原曲はモーツァルトやベートーベンなど有名どころの曲が入っていたみたいですが、じいは聞いたことはなかったかな あと、添削の内職と戯曲書きの内職をしている山本と佐久間のやりとり、多分ノンフィクションな内容だと思うんですけど 演劇史や当時の流行歌等を知らない自分の理解は超えてましたが。あ、でも「文学座」という言葉には思わず反応してしまった某病気の重症人じい
内容は決して軽くはないんですよね。民主主義の「教育」をするためと言って放送番組をランク分けして検閲をする占領軍……冒頭に、戦争の被害を具体的な数字で伝えたり、悲惨な現実を言葉にするのはダメだから~~って言葉の話をするシーンがあるんですけど、放送用語の調査を担当する佐久間とアナウンサー&職員の脇村圭子・山本三枝子のやりとり……国語的にも演劇的にも面白い内容なんだろうなぁ~と思いました。言葉が乱れてる現代っ子のじい、もっと賢ければ楽しめるのにっ とちょっぴり悔しい思いかな。そうそう、最初の方で「15年間の戦争」という言葉が使われてましたけど、こういう小さな、でも大事な見解 さりげないところに曲げられない自分の考えが入っているところがじいは好きなの 第2幕で広島・長崎の原爆はラジオコードに引っかかるから「尋ね人」の番組内では扱えないという場面では、浅野ゆう子さん演じる元アナの川北京子が「最初から放送できないと決めつけてマッカーサーと同じ色眼鏡をかけていた。放送する側の私たちが自己抑制していた」という内容のセリフを言うんですけど、これ、すっごく重い言葉だと思いました。他人による抑圧よりも自分から抑制することほど危険で厄介なことなはいですから。。。
佐々木蔵之介さんが演じた二世軍人のフランク馬場、二つの国の狭間で「自分は誰なのか」悩む……「日本とアメリカの間には何重もの鉄の厚い扉があって、そこを行き来している自分はその厚さがどんなものか、身にしみてよく分かっている」。広島・長崎の尋ね人を放送しようとする川北に言うセリフなんですけど、うまい言い回しだな~~ と感激してしまいました。「自分は誰なのか」……タイトルの「私はだれでしょう」と繋がっているようにみえますが、これを言っているのは川平さん演じる自称・山本太郎 サイパンの激戦で記憶を失って身元捜しをする人はこっち!結局は軍人の息子で諜報活動をしていたということだったんですけど……でも、「私はだれでしょう」って問いはこの人に限定されたものじゃなくて、登場人物全員と観ている私たちにも問いかけられたものなのかなぁ~と思いました。
あと、陸軍中野学校でスパイ教育を受け「生き延びよ」と叩き込まれた特攻隊で「お国のために死ね」と言われた二人の人間、民主主義を広めるはずが朝鮮戦争で180度転換、自衛隊(軍隊という言葉を使っていました)を作ることになったこと……世の中の二重構造を映し出しているのは、すっごく皮肉めいた現代へのメッセージだと思いました。あ、NHKの聴取料を払え~ってのはタイムリーすぎて単純に笑えたわ
「名誉の戦死」ではない兵士の死→骨箱に赤縄がかけられてひっそり引き渡されることや陸軍中野学校の存在、戦争の記憶をさりげなく伝えてるんですよね。「教えよう!」みたいな押しつけがましさがないところが井上先生らしいなぁ~~と思いました。が!!!スミマセン 陸軍中野学校と聞いて思い出しちゃいましたわ、一昨年の「箱根強羅ホテル」 今回出演されている梅沢さんや大鷹さんも出てたし、演出も同じ人(栗山民也さん)だし、同じ井上作品だし~~髣髴させるものがいっぱいだったんですよ。思わず「お酒~~は、ぬるめがいい♪」の暗号歌なんぞ歌ってみたりして
箱根~にも今回の舞台にも共通してたと思ったのが「人間って愛しいよね」ということ。敵・味方・国籍が違う人……いろ~~んな立場の人がいるけど、それぞれが必死で生きている。一見すると「バカじゃないの」とつっこんで笑うこともあるけど、その笑いでとっても温かい気持ちになるし、ちょっぴり切ない気持ちにもなる。劇中歌の中に「どこの国の人でも、どんなに偉い人でもシャワーが好きでステーキが好き」という内容の歌(←シャワーソング?ステーキソング??うろ覚えでゴメンナサイ)がありましたけど、箱根~の時の「みんな人間よ」という曲とベースは同じ。。。楽しそうに歌う役者さんたちを見ながら「人間っていいなぁ~」とホンワカしちゃいました
言葉の端々に大事なことを載せる井上作品。じいは結構好きです パンフの最後に「紙屋町さくらホテル」の公演案内があったので、今度こそは(去年は都合がつかなくて諦めた)行くぞ
最後は簡単にキャスト感想。。。
川北京子@浅野ゆう子さん:
1幕は「浅野ゆう子」の輝きが眩しすぎて役に入り込めないところがありましたが、2幕で占領軍に立ち向かおうとする決意を話すところは凄み&重みがあって見入ってしまいました。あと、普通のシーンでの単調なセリフの言い方がちょっと気になったか
山本三枝子@梅沢昌代:
おばちゃんキャラ全開 マシンガンのように次々に繰り出される言葉、聞いててすっごく気持ちよかった
脇村圭子@前田亜季:
舞台の花 可愛かったですぅ~~清々しくて丁寧な喋り方にますます好感度
佐久間岩雄@大鷹明良:
箱根~以来です 今回もちょいと一癖ある役だったんですけど、これが本当に上手いんですよね~~憎憎しいと思いつつ放っておけない感じがGOO
山田太郎?@川平慈平:
笑い担当??でも芸達者で面白かったです。英語のセリフがあるんですけど、「発音いいなぁ~」と関心 そりゃあ当たり前ですよね……失礼いたしました
高梨勝介@北村有起哉:
メタマクで有起哉さんの魅力に気づいてしまったじい……今回も「熱い(暑苦しい?)」性格の人物を演じられましたけど、セリフに魂が感じられるんですよね~~いや~~素晴らしかった 今回演じられた役、実は「私はだれでしょう」に絡めてスパイか何かの黒幕なのでは?と推理していたんですけど……ただの(笑)まっすぐな青年でございました そうそう、酔っ払って出てくるシーンがあったんですけど、、、思い出しちゃった メタマク~~今回は酒臭くなかったのでしょうか
フランク馬場@佐々木蔵之介:
「クラウディアからの手紙」以来のナマ蔵之介さん……今回はちょいとズルイ カッコイイ役じゃありませんか~~自分の身の上を話すところ、喋り方といい、間の取り方といい、こういうシーンは、もうさすが って思いました。「自分で自分を殺すか、自分に殺されるか」二つの国で揺れ動くフランクの言葉、胸にずっしりきましたわ。
舞台は1946年7月~1947年11月のNHK@内幸町の脚本班分室と放送用語調査室。(以下はサイト引用)
誰もがラジオを聴いていた。戦時中は「大本営発表」、8月15日には「玉音放送」。敗戦。
東京放送会館は、建物の上半分を占領軍・CIE(民間情報教育局)に接収されるが、ラジオの声は、焦土のすみずみにまでこだました。日本放送協会の一室に積み上げられた投書の山。それは、戦争で離れ離れになった肉親、知人の消息を尋ねる人びとの「声」だった。この無数の「声」を、「ラジオを通じて全国に送り届けたい」。こうして新番組「尋ね人」が始まった。昭和二十一年、七月。日本は混乱と困窮のただ中にあった。日系二世のフランク馬場(佐々木蔵之介)は、占領下日本の放送を監督するCIEのラジオ担当者。「尋ね人」を担当する脚本班分室では、フランクと三人の女性職員を中心に、組合のストライキ運動や放送用語問題も飛び交って、次から次へ騒動が巻き起こる。そしてその間にも、投書は続々と寄せられてくる。さらにここへ不思議な男(川平慈英)が登場する。この男、「ラジオで私をさがしてほしい」というのだが・・・・・・。
歌あり、笑いあり、大事な言葉あり、と井上作品らしい舞台でした。(初日が延期になったのも妙に納得……井上センセですから)舞台の下手にピアノがあって生演奏で舞台が進行。その場のテンションが上がったところで歌い始めるんですけど、突然歌いだす不自然さもなかったし、短いけれど観ている方も一緒に踊りたくなるような歌がいっぱいでした 原曲はモーツァルトやベートーベンなど有名どころの曲が入っていたみたいですが、じいは聞いたことはなかったかな あと、添削の内職と戯曲書きの内職をしている山本と佐久間のやりとり、多分ノンフィクションな内容だと思うんですけど 演劇史や当時の流行歌等を知らない自分の理解は超えてましたが。あ、でも「文学座」という言葉には思わず反応してしまった某病気の重症人じい
内容は決して軽くはないんですよね。民主主義の「教育」をするためと言って放送番組をランク分けして検閲をする占領軍……冒頭に、戦争の被害を具体的な数字で伝えたり、悲惨な現実を言葉にするのはダメだから~~って言葉の話をするシーンがあるんですけど、放送用語の調査を担当する佐久間とアナウンサー&職員の脇村圭子・山本三枝子のやりとり……国語的にも演劇的にも面白い内容なんだろうなぁ~と思いました。言葉が乱れてる現代っ子のじい、もっと賢ければ楽しめるのにっ とちょっぴり悔しい思いかな。そうそう、最初の方で「15年間の戦争」という言葉が使われてましたけど、こういう小さな、でも大事な見解 さりげないところに曲げられない自分の考えが入っているところがじいは好きなの 第2幕で広島・長崎の原爆はラジオコードに引っかかるから「尋ね人」の番組内では扱えないという場面では、浅野ゆう子さん演じる元アナの川北京子が「最初から放送できないと決めつけてマッカーサーと同じ色眼鏡をかけていた。放送する側の私たちが自己抑制していた」という内容のセリフを言うんですけど、これ、すっごく重い言葉だと思いました。他人による抑圧よりも自分から抑制することほど危険で厄介なことなはいですから。。。
佐々木蔵之介さんが演じた二世軍人のフランク馬場、二つの国の狭間で「自分は誰なのか」悩む……「日本とアメリカの間には何重もの鉄の厚い扉があって、そこを行き来している自分はその厚さがどんなものか、身にしみてよく分かっている」。広島・長崎の尋ね人を放送しようとする川北に言うセリフなんですけど、うまい言い回しだな~~ と感激してしまいました。「自分は誰なのか」……タイトルの「私はだれでしょう」と繋がっているようにみえますが、これを言っているのは川平さん演じる自称・山本太郎 サイパンの激戦で記憶を失って身元捜しをする人はこっち!結局は軍人の息子で諜報活動をしていたということだったんですけど……でも、「私はだれでしょう」って問いはこの人に限定されたものじゃなくて、登場人物全員と観ている私たちにも問いかけられたものなのかなぁ~と思いました。
あと、陸軍中野学校でスパイ教育を受け「生き延びよ」と叩き込まれた特攻隊で「お国のために死ね」と言われた二人の人間、民主主義を広めるはずが朝鮮戦争で180度転換、自衛隊(軍隊という言葉を使っていました)を作ることになったこと……世の中の二重構造を映し出しているのは、すっごく皮肉めいた現代へのメッセージだと思いました。あ、NHKの聴取料を払え~ってのはタイムリーすぎて単純に笑えたわ
「名誉の戦死」ではない兵士の死→骨箱に赤縄がかけられてひっそり引き渡されることや陸軍中野学校の存在、戦争の記憶をさりげなく伝えてるんですよね。「教えよう!」みたいな押しつけがましさがないところが井上先生らしいなぁ~~と思いました。が!!!スミマセン 陸軍中野学校と聞いて思い出しちゃいましたわ、一昨年の「箱根強羅ホテル」 今回出演されている梅沢さんや大鷹さんも出てたし、演出も同じ人(栗山民也さん)だし、同じ井上作品だし~~髣髴させるものがいっぱいだったんですよ。思わず「お酒~~は、ぬるめがいい♪」の暗号歌なんぞ歌ってみたりして
箱根~にも今回の舞台にも共通してたと思ったのが「人間って愛しいよね」ということ。敵・味方・国籍が違う人……いろ~~んな立場の人がいるけど、それぞれが必死で生きている。一見すると「バカじゃないの」とつっこんで笑うこともあるけど、その笑いでとっても温かい気持ちになるし、ちょっぴり切ない気持ちにもなる。劇中歌の中に「どこの国の人でも、どんなに偉い人でもシャワーが好きでステーキが好き」という内容の歌(←シャワーソング?ステーキソング??うろ覚えでゴメンナサイ)がありましたけど、箱根~の時の「みんな人間よ」という曲とベースは同じ。。。楽しそうに歌う役者さんたちを見ながら「人間っていいなぁ~」とホンワカしちゃいました
言葉の端々に大事なことを載せる井上作品。じいは結構好きです パンフの最後に「紙屋町さくらホテル」の公演案内があったので、今度こそは(去年は都合がつかなくて諦めた)行くぞ
最後は簡単にキャスト感想。。。
川北京子@浅野ゆう子さん:
1幕は「浅野ゆう子」の輝きが眩しすぎて役に入り込めないところがありましたが、2幕で占領軍に立ち向かおうとする決意を話すところは凄み&重みがあって見入ってしまいました。あと、普通のシーンでの単調なセリフの言い方がちょっと気になったか
山本三枝子@梅沢昌代:
おばちゃんキャラ全開 マシンガンのように次々に繰り出される言葉、聞いててすっごく気持ちよかった
脇村圭子@前田亜季:
舞台の花 可愛かったですぅ~~清々しくて丁寧な喋り方にますます好感度
佐久間岩雄@大鷹明良:
箱根~以来です 今回もちょいと一癖ある役だったんですけど、これが本当に上手いんですよね~~憎憎しいと思いつつ放っておけない感じがGOO
山田太郎?@川平慈平:
笑い担当??でも芸達者で面白かったです。英語のセリフがあるんですけど、「発音いいなぁ~」と関心 そりゃあ当たり前ですよね……失礼いたしました
高梨勝介@北村有起哉:
メタマクで有起哉さんの魅力に気づいてしまったじい……今回も「熱い(暑苦しい?)」性格の人物を演じられましたけど、セリフに魂が感じられるんですよね~~いや~~素晴らしかった 今回演じられた役、実は「私はだれでしょう」に絡めてスパイか何かの黒幕なのでは?と推理していたんですけど……ただの(笑)まっすぐな青年でございました そうそう、酔っ払って出てくるシーンがあったんですけど、、、思い出しちゃった メタマク~~今回は酒臭くなかったのでしょうか
フランク馬場@佐々木蔵之介:
「クラウディアからの手紙」以来のナマ蔵之介さん……今回はちょいとズルイ カッコイイ役じゃありませんか~~自分の身の上を話すところ、喋り方といい、間の取り方といい、こういうシーンは、もうさすが って思いました。「自分で自分を殺すか、自分に殺されるか」二つの国で揺れ動くフランクの言葉、胸にずっしりきましたわ。