経済誌を見ると、安部政権の金融緩和への批判が結構載っています。ですが、本当に批判すべき失政なのでしょうか。安部政権が結果を出し、野党が批判する。この構図は、安部政権にとって美味しく、支持する筆者にとっても悪い状況ではないのですが、日本の経済議論のレベルは日本の経済成長に直結しかねません。アベノミクスも道半ばで、物足りない部分はあると思います。あえて、(野党サイドが与する)金融緩和批判を批判してみたい。
一般に
通貨安競争(ウィキペディア)は悪とされています。アメリカのジェイコブ・ルー財務長官は、「日本が国内向けの政策ツールを用いて内需拡大を目標としている限り、G7が数週間前にモスクワ会合で合意した内容に沿っている」と発言したようですが、内需拡大を目指すための国内向け政策は、通貨安競争に当たらないと考えられます。日本で需要が足りないのは明らかですから、それの解消を目指すのは当然で、その結果、通貨安になっても問題はありません。日本は需要が足りず、デフレが続いており、もしデフレ脱却したなら、自然に円安になるのだと思います。
ところで、「ジョセフ・E・スティグリッツは、2010年11月時点で「アメリカの量的緩和政策は通貨安競争というアメリカの戦略の一環として景気浮揚効果をもたらすかもしれない。金利低下によって為替レートは下がるが、これを為替操作と見なすか、金利低下の偶然の副産物と見なすかは重要ではない。確かな事は、ドル安がアメリカに貿易面で競争優位をもたらしているということである」「アメリカの政策は、ドル安誘導とともに、他国を通貨高につながる措置に追いやるという意味で、通貨安競争で効果を上げている」と指摘している。」そうですから、アメリカは金融緩和で実際はドル安誘導しているとも言えるのではないでしょうか。アメリカは何をもって通貨安競争というのか、そしてその基準は第三者から見て妥当なのか、公平に議論されれば良いと思います。結局、
自国を通貨安に導くのは経済的に有効で、金融緩和はその手段でもあり、それが通貨安競争を招くと言われることはないのではないでしょうか。であるならば、
安倍政権の金融緩和は正解ではないでしょうか。
筆者が知らないだけかもしれませんが、新聞や経済誌にこうしたことは書かれていないように思います。通貨安競争が悪とされている以上、議論しにくいところはあるかもしれませんが、本当のところを議論しないと、議論の意味が無いと思います。スティグリッツ氏がアメリカはドル安誘導で効果をあげていると言っているのですから、日本も本当のところを議論した上で、「通貨安競争をしていない」と言うことが出来るはずです。