若い女性保険外交員の殺人事件。
ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。
しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。
そして、次第に二人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。
本当の「悪人」は誰なのか?
そう心の奥の問いかけてくる映画です。
観終わった後、感じる思いはそれぞれ違うでしょうが、いろいろな思いが交差します。
犯罪(殺人)を犯すのはもちろん許されることではありません。
でも、被害者・佳乃(満島ひかり)は本当にひどい女性です。
祐一の心を弄び、金銭を要求し、そして嘘で追いつめる・・・。
裕福な大学生・増尾(岡田将生)も、いい加減で自分勝手で、観ていても悲しいぐらいです。
(岡田君は大好きです。でも、今回は嫌な大学生を熱演していました.役なので、しかたない。本人は大好きです。)
被害者の父の辛く行き場のない思いもジョークで笑い飛ばし、面白おかしくネタにする・・・。
祐一(妻夫木聡)は確かに罪を犯したけれど、それは本当に悪い方に悪い方にすべてが流れて行ったためで、彼自身は実はとても孤独な普通の青年なのです。
彼の人生は辛く悲しい事ばかりで、彼は孤独に耐え生きてきただけなのに・・・。
彼を理解し、そばでいてくれる人と巡り合っていたら、きっと彼の人生も変っていたはずなのに・・・。
やっと巡りあった光代(深津絵里)のことを深く愛していたのに、愛していたが故に最後は彼女を守るために自ら「悪人」になってしまう・・・
とても悲しいです。
たとえ、それが愛だとしても・・・。
被害者・佳乃の父(柄本明)と加害者・祐一の祖母(樹木希林)の気迫の演技は、圧倒される気がしました。
目が違うのです。
佳乃の父(柄本明)が、増尾の同級生に語りかける言葉も、深く胸に響きました。
あ<wbr></wbr>んた、大切な人はおるね?
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<wbr></wbr> その人の幸せな様子を思うだけで、
<wbr></wbr> 自分までうれしくなってくるような人は。
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<wbr></wbr> 今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる。
<wbr></wbr> 自分は失うものがないち思い込んで、
<wbr></wbr> それで強くなった気になっとう。
<wbr></wbr> だけんやろ、自分が余裕のある人間て思いくさって、
<wbr></wbr> 失ったり、欲しがったりする人間を、
<wbr></wbr> 馬鹿にした目で眺めとう。
<wbr></wbr>
<wbr></wbr> そうじゃないとよ。
<wbr></wbr> それじゃ人間は駄目とよ。
本当に世の中、いい加減なことが多すぎるのかもしれないと思う。
少年犯罪や幼児虐待や・・・。
でも、このいい加減な大学生・増尾の同級生の中にも、一人だけ澄んだ目をしている青年がいて、それがとても心地良かった。
捨てたものじゃないな・・と思った。
バスの運転手さんも良かったなぁ・・・。
人は誰でも被害者にも加害者にもなりえるものなのだと思う。
だからこそ、それを肝にめいじて、生きていかなければならない。
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