「絶対賛成と絶対反対」 ②

2011-11-04 22:57:08 | 従って、本来の「ブログ」

 

 


              「絶対賛成と絶対反対」


                     ②


 絶対賛成と絶対反対の対立は結局は事態を進展させることなく感

情的な対立を生んで膠着する。それは、原発問題だけに留まらず、

TPP参加問題や公共事業の問題、さらに世界に目を転じれば、尖

閣諸島の領有権問題やイスラエル・パレスチナ問題などの領土問題

さえその対立の構図を同じくする。そこに利害が絡み、一方を伸ば

せば他方が縮むのは誰もが知る「ことの道理」である。問題はその

利害を調整しようとするが、それが思うように行かずに理性が投げ

てしまい感情だけが残る。しかし、感情的な対立を解くには理性に

よる他ない。ところが、権利を主張する者は互に感情に固執して相

手の話しに耳を貸そうとはしない。絶対賛成と絶対反対の立場は互

いを遠ざけ合って亀裂が深まり、問題が発生する前よりも意見が硬

直して話し合いが失われる。絶対賛成と絶対反対の間隙には無数

の糸が絡み合い、従って無数の解決の糸口が残されているにも拘ら

ず、絡み合った糸の一つ一つを解いていこうとはせずに、絡んだ責

任を相手に負わせていがみ合う。絡み合った糸を一つ一つ解いてい

くしかないのに手前を多く残して断ち切ろうとする。それは問題の

破棄であって問題の解決ではない。

 たとえば、原発推進派の人々は反対派の「いつか」の不安に対し

て正しく応じてきただろうか?また、反対派の人々は賛成派の「い

ま」起こる社会不安に対してどう説得するのだろうか?同じ土俵で

睨み合っているように見えて、実は「いつか」と「いま」でその争

点がずれていないだろうか。絶対対立はそんなことさえ確かめるこ

とさえできない。争点の噛み合わない議論は二つの相反する意見

を存続させ、その間隙を一つしかない現実がすり抜ける。たとえば、

「いま」は仕方なくとも「いつか」無くすというドイツ政府が決めたよう

な合意をわれわれは何故話し合えないのか?その為には賛成・反

対を措いてまず問題の認識を何故共有しようとしないのか。それぞ

れがそれぞれの硬直した意見を主張するばかりでなく、相手の意

見を尊重して互に歩み寄り、張り詰めた糸を緩めなければ絡み合

った糸を解くことは出来ない。原発を稼働するにしても全廃するに

しても、その責任は国民が等しく負わされるのだ。私が言っている

のは議論の在り方をいっているのだ。幸いにもわれわれは、それ

ぞれの蛸壺から這い出して互いが歩み寄るための共通した言葉

を未だ失わずに交わすことができるのだから。


                                     (おわり) 

 

 

 

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 「絶対賛成と絶対反対」

2011-11-04 14:06:32 | 従って、本来の「ブログ」

          「絶対賛成と絶対反対」


 原発反対派は「それ見たことか」と、これまで訴えてきたことが

現実に起こってその溜飲を下げたかもしれないが、そもそも原発反

対派にしても原発事故を望んでいた訳ではないはずで、だから、今

回の事故は反対派にとっても自分たちの主張が推進派を圧し留める

ことができなかったことは、ある意味で敗北だと言えるのではない

だろうか。いくら正しいと信じる主張でもその主張には見向きもさ

れず、現実の事故がそれを証明するに至る事態は、「それ見たこと

か」と詰ったところである意味虚しさが残る。

 それでは、推進派は何故反対派の意見に耳を傾けようとしなかっ

たのだろうか。或いは、反対派は何故推進派の誤りを正せなかった

のだろうか。問題はそこにあるのではないだろうか。それぞれが深

い亀裂の対岸に分れてただ声を荒げて相手を貶し合ってばかりいて

は、事態の改善は進まないどころか再び同じことが繰り返されるこ

とさえある。断っておくが、私は反対派を攻撃しているつもりは全

くない。もちろん、問題は原発を推進させ「絶対安全」を呪文のよ

うに唱えれば願いは通ずると盲信した御用科学者たちの無責任ほど

酷いものはない。しかし、一方でその危険性を指摘しながら事無き

を図れなかった反対派の学者たちは、自分たちの正しい主張がいっ

たいどう生かされたというのだろう。科学者同志でありながら互に

議論を合わせることなくそれぞれが蛸壺の中で相手の非を罵っても

是非は生まれない。推進派が推進しようとし反対派が反対をする、

その亀裂の間隙を事故という事実がすり抜けた。つまり、推進派も

或いは反対派さえも考えを主張するだけで安閑として、目の前の事

実を見ようとしなかったのではないだろうか。


                                 (つづく)


 

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