「あほリズム」
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交易の原則は相互主義に尽きる。ところが、それぞれ得意分野が異
なりA国の安価な農作物はN国の農業を破たんさせ、N国の優れた
製品はA国の産業を崩壊させる。つまり、農業を守ろうとすれば産
業が衰退し、産業を特化させれば農業が打撃を受ける。交易の相互
主義は国内問題に形を変えて回帰してくる。ところで、我が国の農
業関係者は我が国の産業がA国の産業をどれほど衰退させたかにつ
いて認識しているだろうか?将又(はたまた)、産業界は農産物の自
由化がどれほど農業環境を荒廃させるかと考えたことがあるだろう
か?さらに言えば、農業の人々は消費の利益をどれ程考えているだ
ろうか?もはや、それぞれが蛸壺の利害だけを主張するだけでは問
題は解決しないのだ。いずれTPP参加の問題はこの国をどういう
国にするのかに帰還してくる。