「存在とは答えだ」
真夜中を過ぎました。雨も降り飽きたようです。虫たちも息をひ
そめる静かな夜です。世界は先ほど営業を終えてひっそり閑として
います。宇宙の中に私だけが取り残されたようです。いや、実は、
私も存在しないのかもしれません。目を閉じると、感覚は私を離れ
て静かな宇宙に繋がります。宇宙も息をひそめて流れています。存
在のよりどころを求めて流れているのでしょうか。いや、何も求め
てはいないのでしょう。そこには問いなどないからです。すべてが
答えなのです。わたしの問いはいつも答えの後ばかり追いかけてき
たけれど、今、知りました。答えがないのではない、わたしが問い
掛けているだけだと。宇宙も大地も、そしてわたしが存在すること
のすべてが答えなんだと。
「世界の中に神秘はない。世界が在ることが神秘だ」
(ヴィトゲンシュタイン)
中国地方のこんな山の中に、あすノーベル物理学賞を受賞された
益川敏英氏が講演に来られます。聴きに行ってみようと思っています。