「何もできない政治」
かつてアメリカのオバマ前大統領は反対勢力から何もしないと批
判されて任期を終えたが、それでは何でもするトランプ現大統領は
支持されているかといえばそうとばかりは言えない。すでに世界は
グローバリゼーションによって緊密化して、閉じた世界の一方を圧
せば他方が破れる「ゼロサム世界」である。一部の人のための政策
はそれ以外の人に様々な影響を及ぼす。地球温暖化による気候変動
をフェイクだと断言するトランプ大統領の下でのアメリカ経済は、
一時的には活況を呈しても、すでにフェイクとは言えないほどに深
刻な状況をもたらしている気象災害に向き合わなくてはならなくな
るだろう。経済を優先させて温室効果ガスの排出を規制しなければ
、地球温暖化による気象災害が頻発して経済的影響は避けられない。
つまり経済優先が巡り巡って経済成長を阻む。こうして一部だけで
なく全体のことを見れば何もできないことは致し方のないことなの
だ。例えば、イギリスのEU離脱問題、所謂「ブレグジット」は賛
否が拮抗していて結論に到らず先送りを繰り返しているし、それど
ころか、わが国の安倍政権が高らかに打ち出したアベノミクスを始
めとする輝かしい選挙公約は何一つとして実現していない。このよ
うな行き詰った時代に政治が行えることは限られていて、世界全体
を見渡せば実は大きなことなど何もできないし、自国の利益を優先
して何かを行なえば、たちまち他国にその影響が波及する。世界が
狭くなって隣の者の肘が当たっただけでも憂ざい時代に、政治が一
部の者だけを優遇して公平公正が蔑ろにされることは、たとえ小さ
なことであったとしても許されるものではない。安倍内閣の支持者
たちは野党が追及する「森友・加計疑惑」や、「桜を見る会」に自
身の支持者をもてなした「サクラ(偽客)をもてなす会」といった安
倍政権の不正疑惑を小さなことと一蹴するが、しかし大きなことを
謳いながら何一つ成し得ない安倍忖度内閣の不正疑惑は「均しから
ざるを患える」国民にとっては決して小さなことではない。