「二元論」(4)のつづき

2021-03-14 13:02:00 | 「二元論」

          「二元論」


           (4)のつづき


 難解な哲学用語は使わないと言っておきながら、「世界=内=

存在」というハイデガーが造った言葉を引用してしまったが、こ

れは実に私の思いに的中したからで、凡そのことがこの一言で納

得できるのではないかと思ったからです。つまり、われわれは自

然の中から萌え出て、そして自然へと還っていく生き物で、世界

の外で存在することはできないということです。もちろん、現在

では宇宙飛行士のように地球を飛び出して宇宙に滞在する人も現

われていますが、しかしそれは金魚鉢の中の金魚のようなもので

、彼らとても予め用意された人工の地球環境の中でしか生存する

ことができません。つまりいくら世界を飛び出したとしても「世

界=依存=存在」であることに変わりはありません。また。われ

われの存在は世界内で完結するのであれば、もちろん肉体を離れ

た霊魂のようなものは別にして、たとえば神のような存在が世界

の外から人間を創ったというようなことは決してあり得ないとい

うことです。もっと分かりやすく言えば、「われわれとは何であ

るか?」の答えはこの世界の内にしか無いということです。さて

、ではわれわれとは何者かと言えば、「世界=内=存在」であり

、自然の中から発生して自然の中へ消滅する時限的存在である。

そしてなによりも重要なことは、われわれはそのことを認識して

いるということである。

                        (つづく)