「・・・」

2021-03-29 04:57:17 | 「二元論」

          「・・・」


 ハイデガーはまず、「存在とは何か?」を問う前に「存在とは

何か?」を問う人間とは何かを問います。何故なら「存在とは何

か?」という問いは人間だけが発する問いであり、その答えは人

間が認識できなければ意味がないからです。そもそも人間以外の

生物たちは本能に支配されていて「いまここの自分」だけにしか

関心がなく、そこには過去も未来もない。しかし人間は進化した

理性によって本能的な自分が置かれた「いまここの自分」を脱け

出して、ハイデガーはそれを「脱自態」と呼びますが、過去を思

い出し未来を思い描きます。こうして過去、現在、未来を想像す

ることは「おのれを時間化する」(ハイデガー)ことだと言い、こ

の「時間化」こそが「いまここの自分」を超越してその先の世界

を規定する「存在」へと関心が向けられる、と言うのです。つま

り、われわれが「存在とは何か?」を問うのは「おのれを時間化

する」ことから生れるのです。では、なぜ「存在とは何か?」を

問うのかと言えば、世界を規定している「存在」の視点に身を置

くことによって、世界全体を認識することができるからです。ハ

イデガーはそれを「存在了解」と言います。