【 2016年1月10日 】 MOVIX京都
TOHOシネマで予告編をみて、いつか見ようとリストに挙げていたのが、昨年の11月か、12月の初めのころ。休みの日に見ようとタイムスケジュールと睨めっこをして様子をうかがっていたが、折り合いがつかず、年末の休暇に入ってから見ればいいと思っていたが、年末は思いのほか自由にならず、後回しに。
今年に入り、今度こそ見ようと上映館のスケジュールを見ていると、そこにない。なんと、「TOHOシネマズ二条」ではもう上映打ち切りだった。1日1回きりの上映だったがもう少し続くと思っていただけに残念だった。半年くらい先になるだろうDVDのレンタル開始を待つしかないと思いつつ、全国の上映館を探すと、今度は「京都MOVIX」でやっているではないか。それも、1日1回きりの上映。今度こそ見ようと休みの日に出かけようと思い、当日の朝、上映時間を確認すると2日前に見た時間と違っているではないか! 朝10時上映が夕方の5時半になっている。他の用事もありタイミングが悪いので改めて別の日を設定すると、今度はまた午前10時の上映になっている。≪いったいどうなっているのだろう≫とイライラする。
今日は万難を排して、12時05分の上映に標準を合わせ、家を出る。
映画が始まると、もうスクリーンに釘付けになった。
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話の筋はおおよそわかっていた。実話だというし、《オーストリアに進駐してきたナチスに家にある美術品がことごとく奪われるのだが、それを戦後何十年もたってアメリカに移住した元ウィーン在住の1個人がオーストリア政府を相手に裁判を起こし、名画を取り戻した》という《とてつもなく大胆》で《そんなことってあるのか》と思える話を、どのように映画として仕上げていくのかと半信半疑の興味を持っていた。いったいどんな作品にまとめていくのだろうと。
脚本が素晴らしい。
スリルもサスペンスも、法廷場面の緊張感も、今と昔を織り込んだ回想シーンも現実も見事に調和している。
配役もいい。
現在のウィーンと、ナチ支配下のウィーンとそれをめぐるマリアの思いも伝わってくる。
主役の「ヘレン・ミレン」がいい。
若い弁護士の気持ちの変化の描写も巧みだ。本当の話なのかもしれないが、陳述の論理の巧みさも、見事なものだ。
私自身、2007年と2009年の2回、ウィーンを訪れたが、その時の『ヴェルベデーレ宮殿』や『美術史美術館』の印象が残っているだけに、スクリーンを見ていてよけいに感慨深いものがある。
こんな緊張感をもって全シーンを見続けた映画なんて最近ほとんどなかった!
本当に、感慨深いいい映画だった。
それでもやっぱり、わたしは『クリムト』より『エゴン・シーレ』の絵のほうがずっと好きだ。
『黄金のアデーレ-名画の帰還』-オフィシャルサイト
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