【2012年3月31日】 『2011年度版・歴代映画ベスト20』-今の印象を基にした主観的選考
今までに観た映画のうち、最も印象に残った映画、感銘を受けた映画の『ベスト20』を選考。1位から10位までは甲乙つけがたく(それ以降も絶対的な順位ではない)、たまたま現在の心境、今の印象を基にランク付けしている。したがって、毎年順位が変わる可能性もある。見ていない映画は、良い映画でも当然対象から外れている。
あくまでも、今年度・今現在のランキング!である。
名作の絶対的条件は《何回見ても新鮮なこと》・《何度でも観たい映画》であること。それには普遍的な真理が含まれている事、観て面白い事が必要条件である。
映画評論家は、往々にして「どの映画でも、見るに値する『いい映画』として紹介する」傾向にある。特に、映画の予告編やチラシに寄せられるコメントや推薦文はおのずと《いい評価に偏る》を通り越して《絶対見逃せない作品》に祭り上げられる。それを鵜呑みにして、どれだけ時間とお金を浪費させられたか。
それとは別に、評論家に限らず誰でも、《好み》には個性と言うか違いがあり、人それぞれである。人生観も違えば価値観も違う。映画を観る時の《自身の状況》によっても違う。だから、《その人》が良いという映画が、自分に合っているかどうかは、《その人》の《傾向》を知らなければならない。
今後、『私のブログの記事を読んで、あるいはほかの推薦記事を読んで《観てみようか、どうしようか》仮に迷った時に、1つの判断材料になれば』という思いもあり、この『ランキング』発表を初めてみようと思った。
『2011年映画総集編』を合わせて参考にしていただければ幸いである。
【 2011年度版 ベスト映画ランキング 】
第1位 『ラブソング』 (1996年 香港映画)
監督:ピーター・チャン 撮影:
出演:マギー・チャン、レオン・ライ
ストーリー展開の軽快さ、内容の濃さ、微妙な感情の繊細な表現、カメラワ
ークのうまさ、効果的な挿入歌の使用、どれをとっても唸らせる。
マギー・チャンの魅力を最大限発揮させ、何回見ても飽きないし、いつみて
も新鮮。最初と最後のショットの掛け合いが実にしゃれている。
第2位 『サンドイッチの年』 (2001年 フランス映画)
監督:ピエール・ブートロン 原作:セルジュ・レンツ
出演:ヴォイツェフ・プショニャック(マックス)、
トマ・ラングマン(ヴィクトール)
マックスを演じるヴォイツェフ・プショニャックが大きな魅力だ。
第3位 『ナイロビの蜂』 (2005年 イギリス映画)
監督:フェルナンド・メイレレス 原作:ジョン・ル・カレ
出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ
この映画の二人のように情熱的に生きられたらどんなのいいかと思う。
第4位 『七人の侍』 (1954年 日本映画)
監督:黒澤 明 脚本:黒澤 明、小国英優、橋本 忍
撮影:中井朝一 音楽:早坂文雄
出演:三船敏郎、志村 喬、加藤大介、木村 功、宮口精二、千秋 実、稲葉義男
『生き』も捨てがたいが今回は、こちらにした。はじめてみた時、それまで
みていた時代劇やチャンバラ映画とは全く違った武士の姿に衝撃を受けた。歴
史の流れの中での農民階級と対比他した武士階級のこんな捕らえ方もあるんだ、
と。
今は、出演者の大部分がなくなってしまったが、内容はいつも新鮮だ。
第5位 『ゴッド・ファーザー』(PartⅠ) (1972年 アメリカ映画)
監督:フランシス・コッポラ 原作・脚本:マリオ・ブーゾ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン
人物の性格描写はピカ一である。Part2、Part3がありそれぞれいいが、や
はり第1部が一番いい。
自分は元来、ギャング映画など好んで見る方ではないのが、この映画は激し
い暴力の描写もあるが、単なるギャング映画とは全然違う。家族愛と人間同士
の絆を描いた映画である。
家族を守っていくために世の中と対峙し、孤独を深めていく男の姿は、きび
しい世の中で、いつでも見られる孤独で悲しくさびしい姿である。
第6位 『幸せの黄色いハンカチ』 (1977年 松竹映画)
監督:山田洋次 脚本:山田洋次、朝間義隆 撮影:高羽哲夫
出演:高倉 健、賠償千恵子、桃井かおり、武田鉄矢、渥美 清
我が家に、日常生活の中で飛び交う《ギャグ》をもたらせた記念碑的作品。
ストーリーの展開が絶妙で、日常の喜怒哀楽を自然に織り込み、最後は涙が
止まらない。アメリカでリメイク版が製作されたが、なんと言ってもこれ!
第7位 『ローマの休日』 (1953年 アメリカ映画)
監督:ウイリアム・ワイラー 脚本:ダルトン・トランボ他
出演:オードリー・ヘップバーン、グレゴリー・ペック、エディー・アルバート
最後のシーンは何度見てもしびれる。
第8位 『芙蓉鎮』 (1987年 中国映画)
監督:謝 晋
出演:劉暁慶(胡玉音)、姜文(秦書田)、劉利年(黎桂桂)、
徐松子(李国香)、鄭在石(谷燕山)
見た当初、どうしてこんな映画が今の中国でできるのか不思議でならなかっ
た。思えば、《改革開放》が日本で見ているのより早く、中国国内で広まって
いたのかもしれない。
第9位 『たそがれ清兵衛』 (2002年 日本映画)
監督:山田洋次 原作:藤沢周平 脚本:山田洋次、朝間義隆
音楽:富田 勲 撮影:長沼六男 美術:出川三男
出演:真田広之、宮沢りえ、田中泯
あまりにも、かっこいい!!
第10位 『泥の川』 (1981年 日本映画)
監督:小栗康平 原作:宮本 輝
出演:加賀まり子、田村高廣、藤田弓子、芦屋雁之助、柴田真生子
第11位 『戦争と人間』〔三部作〕(1970年-1973年 日活映画)
監督:山本薩夫 原作:五味川純平 脚本:武田 敦、山田信夫
出演:滝沢 修、芦田伸介、浅岡ルリ子、中村勘九郎、北大路欣也、高橋英樹
吉永小百合、山本 圭、山本 学、高橋孝治、地井武男、栗原小巻
三国連太郎、岸田今日子、加藤 剛、他
第12位 『男はつらいよ・夕焼け小焼け』 (1976年 松竹映画)
監督:山田洋次 脚本:山田洋次、朝間義隆
出演:宇野重吉、岡田茉莉子、太地喜和子、渥美 清、賠償千恵子
『男はつらいよ』シリーズは、どれも捨てがたいのだが、あえて1本を上げれ
ば、これ。『男はつらいよ』は本質的に男と女の『恋愛』の映画である。
第13位 『嘆きのテレーズ』 (1952年 フランス映画)
監督:マルセル・カルネ 原作:エミール・ゾラ
脚色:マルセル・カルネ、シャルル・スパーク
出演:シモーヌ・シンヨーレ、ラフ・バローネ
第14位 『アマデウス』 (1984年 アメリカ映画)
監督:ミロシュ・フォアマン 脚本:ピーター・シェーファー
撮影:ミロスラフ・オンドリチェク
出演:マーリー・エイブラハム(サリエリ)、トム・ハルス(モーツァルト)
最初にこの映画に出会ったとき、カルチャー・ショックを受けた。
第15位 『黄色い星の子供たち』 (2010年 仏・独・ハンガリー映画)
監督:ローズ・ボッシュ
出演:メラニー・ロラン、ジャン・レノ、他
第16位 『独裁者』 (1940年 アメリカ映画)
監督、脚本:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード
『殺人狂時代』や『街の灯』も捨てがたいが、今回はこれ。
第17位 『L.A.コンフィデンシャル』 (1997年 アメリカ映画)
監督:カーティス・ハンソン 原作:ジェイムズ・エルロイ
脚本:カーティス・ハンソン、ブライアン・ヘルゲランド
出演:ケヴィン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、
ジェームズ・クロムウェル、キム・ベイシンガー
第18位 『カサブランカ』 (1942年 アメリカ映画)
監督:マイケル・カーティス 脚本:ハワード・コッチ、他
出演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン
第19位 『ヤコブへの手紙』 (2011年 フィンランド映画)
監督:クラウス・ハロ 脚本:クラウス・ハロ 、ヤーナ・マッコネン
作曲:ダニ・ストロムベック 美術:カイサ・マキネン
出演:
第20位 『燈台守の恋』 (2004年 フランス映画)
監督:フィリップ・リオレ
出演:サンドリーヌ・ボネール、フィリップ・トレトン、アンヌ・コンシニ
グレゴリ・デランジェール、エミリー・ドゥケンヌ
番外 『レディー・チャタレイ』 (2006年 フランス映画)
監督:パスカル・フェラン 原作:D.H.ロレンス
出演:マリナ・ハンズ (Constance)、 ジャン=ルイ・クロック (Parkin)
『がんばっていきまっしょい!』、『おばあちゃんの家』、『息もできない』、『海の上のピアニスト』、『愛を読む人』、『リトル・ダンサー』、『上意討ち』、『生きる』、『椿三十郎』、『飢餓海峡』、『金環食』、『息子』、『同胞』、『家族』、『ライムライト』、『街の灯』、『モダンタイムス』、『アメリカン・ヒストリーX』、『西部戦線異状なし』、『戦艦ポチョムキン』、『マジソン郡の橋』、『シェルブールの雨傘』、『ラジオの時間』、『神様のくれた赤ん坊』等々、まだまだ挙げたい映画が多くあり、どれを20位に入れても不思議はない。
ちょっと、毛色の違う作品も入れてみようと、『番外』も含めて、今回はこれにした。