【2013年3月31日】 『2012年度版・歴代映画ベスト20』-今の印象を基にした主観的選考
今までに観た映画のうち、最も印象に残った映画、感銘を受けた映画の『ベスト20』を選考。昨年同様1位から10位までは甲乙つけがたく、たまたま現在の心境、今の印象を基にランク付けしている。したがって昨年と順位が若干変わっている。
あくまでも、今年度・今現在のランキング!である。
名作の絶対的条件は《何回見ても新鮮なこと》・《何度でも観たい映画》であること。それには普遍的な真理が含まれている事、観て面白い事が必要条件である。
この点は昨年も今年も、おそらくずっと変わらない基準である。
映画評論家は、往々にして「どの映画でも、見るに値する『いい映画』として紹介する」傾向にある。特に、映画の予告編やチラシに寄せられるコメントや推薦文はおのずと《いい評価に偏る》を通り越して《絶対見逃せない作品》に祭り上げられる。それを鵜呑みにして、どれだけ時間とお金を浪費させられたか。
それとは別に、評論家に限らず誰でも、《好み》には個性と言うか違いがあり、人それぞれである。人生観も違えば価値観も違う。映画を観る時の《自身の状況》によっても違う。だから、《その人》が良いという映画が、自分に合っているかどうかは、《その人》の《傾向》を知らなければならない。
以上のことを前提として、この《個人的で主観的な》『2012年度版・歴代映画ベスト20』と併せて、以前書きためた《マイブログ》を読んで、今後の映画鑑賞の参考にしていただければ幸いである。
【 2012年度版 ベスト映画ランキング 】
第1位 『ラブソング』 (1996年 香港映画)
監督:ピーター・チャン 撮影:
出演:マギー・チャン、レオン・ライ
ストーリー展開の軽快さ、内容の濃さ、微妙な感情の繊細な表現、カメラワ
ークのうまさ、効果的な挿入歌の使用、どれをとっても唸らせる。
マギー・チャンの魅力を最大限発揮させ、何回見ても飽きないし、いつみて
も新鮮。最初と最後のショットの掛け合いが実にしゃれている。
第2位 『サンドイッチの年』 (2001年 フランス映画)
監督:ピエール・ブートロン 原作:セルジュ・レンツ
出演:ヴォイツェフ・プショニャック(マックス)、
トマ・ラングマン(ヴィクトール)
マックスを演じるヴォイツェフ・プショニャックが大きな魅力だ。
第3位 『ゴッド・ファーザー』(Part1~3) (1972年 アメリカ映画)
監督:フランシス・コッポラ 原作・脚本:マリオ・ブーゾ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン
人物の性格描写はピカ一である。やはり第1部が一番いいが、今回はやはり
一連のストーリー性を鑑み、第3部まで含めて1つの作品とする。
自分は元来、ギャング映画など好んで見る方ではないのが、この映画は激し
い暴力の描写もあるが、単なるギャング映画とは全然違う。家族愛と人間同士
の絆を描いた映画である。
家族を守っていくために世の中と対峙し、孤独を深めていく男の姿は、きび
しい世の中で、いつでも見られる孤独で悲しくさびしい姿である。
第4位 『ローマの休日』 (1953年 アメリカ映画)
監督:ウイリアム・ワイラー 脚本:ダルトン・トランボ他
出演:オードリー・ヘップバーン、グレゴリー・ペック、エディー・アルバート
最後のシーンは何度見てもしびれる。
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第5位 『生きる』 (1954年 日本映画)
監督:黒澤 明 脚本:黒澤 明、小国英優、橋本 忍
撮影:中井朝一 音楽:早坂文雄
出演:三船敏郎、志村 喬、加藤大介、木村 功、宮口精二、千秋 実、稲葉義男
黒沢映画を何本も入れたいが、今年はこれ。もう何十年も前に、大阪で『生きる』が
上映されると知って飛んでいったものだ。
それ以来すっかり黒沢ファンになってしまった。名だたる俳優が顔を並べているが、
どの役者の演技も中途半端ではない。綿密な脚本、妥協しない演出、時代を的確に捉えた
内容、生活する人間を見守る暖かい視点。今見ても全く古さを全く感じず、思わずうなっ
てしまう。
第6位 『ナイロビの蜂』 (2005年 イギリス映画)
監督:フェルナンド・メイレレス 原作:ジョン・ル・カレ
出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ
大製薬会社の治験に関わる不正を、雄大なアフリカの自然の中で追及するふたり。
最後のシーンは何とも悲しいが、この映画の二人のように情熱的に生きられたらどんなに
いいかと思う。
第7位 『たそがれ清兵衛』 (2002年 日本映画)
監督:山田洋次 原作:藤沢周平 脚本:山田洋次、朝間義隆
音楽:富田 勲 撮影:長沼六男 美術:出川三男
出演:真田広之、宮沢りえ、田中泯
真田広之の清兵衛はあまりにもかっこいいし、宮沢りえが凛と輝いている。
山田洋次が手がけた最初の時代劇であるが、その後の『隠し剣・鬼の爪』、『武士の一分』は、
それはそれでいいのだが、他の監督が作った一連の『藤沢周平物』と比べても、ぴかいちである。
第8位 『海の上のピアニスト』 (1999年 米・伊 映画)
監督:ジョゼッペ・トルナト―レ
出演:ティム・ロス、ブルット・テイラービンス、メラニー・ティエリー
音楽がたまらなくいい。この映画を見ていると、限りないロマンス感じる。
第9位 『ヤコブへの手紙』 (2011年 フィンランド映画)
監督:クラウス・ハロ 脚本:クラウス・ハロ 、ヤーナ・マッコネン
作曲:ダニ・ストロムベック 美術:カイサ・マキネン
出演:カーリナ・ハサード(レイラ)、ヘイッキ・ノウシアイネン(ヤコブ)、ユッカ・ケノイネン(郵便配達人)
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『ヤコブへの手紙』-オフィシャルサイト
第10位 『燈台守の恋』 (2004年 フランス映画)
監督:フィリップ・リオレ
出演:サンドリーヌ・ボネール、フィリップ・トレトン、アンヌ・コンシニ
グレゴリ・デランジェール、エミリー・ドゥケンヌ
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第11位 『サラの鍵』 (2010年 仏映画)
監督:ジル・パケ・プレネール
出演:クリシティン・スコット・トーマス、他
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第12位 『ラジオの時間』 (1997年 日本映画)
監督:三谷幸喜
出演:柄沢寿明、鈴木京香、西村雅彦、布施明、井上順、戸田恵子
ともかく面白い。ひとりひとりの役者の個性満開。
三谷幸喜の初めての監督作品で、日頃感じている《矛盾》を吐き出し、この作品に一気に
凝縮したというエネルギー感じる。
その後の同監督の作品(「みんなの家」、「The有頂天ホテル」、「ザ・マジックアワー」
等)も見たが、どれも期待はずれ。最初の作品ほどの批判精神がみられず、単なるどたばた喜
劇で終わっている。
第13位 『息子』 (1991年 松竹映画)
監督:山田洋次 原作:椎名誠「倉庫作業員」
脚本:山田洋次、朝間義隆 撮影:高羽哲夫
出演:三國廉太郎、和久井映美、永瀬正敏
第14位 『椿姫』 (1988年 松竹映画)
監督:朝間義隆 脚本:朝間義隆、山田洋次
出演:松坂慶子、加藤健一、すまけい、秋山恵美子
ヴェルディのオペラ『椿姫』をモチーフに、全く新しく作りかえた作品。随所に『椿姫』の
アリアの一節、メロディーが散りばめられ、これはこれで楽しめる物語だ。
第15位 『神様のくれた赤ん坊』 (1979年 松竹映画)
監督:前田陽一
出演:渡瀬恒彦、桃井かおり、鈴木伊織、吉行和子、吉幾三
第16位 『リトル・ダンサー』 (2000年 イギリス映画)
監督:スティーブン・ダルトリー
出演:ジェイミー・ベル、ジェリー・ウォルターズ、ゲイリー・ルース
第17位 『息もできない』 (2008年 韓国映画)
監督:ヤン・イクチュン 脚本:ヤン・イクチュン
出演:ヤン・イクチュン(サンフン)、キム・コッピ(ヨニ)
【 サンフン(右)とヨニ 】
『息もできない』-マイブログ
第18位 『飢餓海峡』 (1965年 日本映画)
監督:内田吐無 原作:水上勉「飢餓海峡」
出演:三國廉太郎、左幸子、伴淳三郎、加藤嘉
第19位 『がんばっていきまっしょい』 (1998年 日本映画)
監督:磯村一路
出演:田中麗奈、松尾政寿、中嶋朋子、清水真実、葵若菜、真野きりな
第20位 『おばあちゃんの家』 (2002年 韓国映画)
監督:ユン・ホンシク
出演:キム・ウルブン(おばあちゃん)、ユ・スンホ(孫のサンウ)
番外 『ふがいない僕は空を見た』 (2012年 日本映画)
監督:タナダユキ 原作:窪美澄「ふがいない僕は空を見た」
出演:永山絢斗、田畑智子、原田美枝子、窪田正孝
『ふがいない僕は空を見た』-マイブログ(2012/12/26)
『ふがいない僕は空を見た』-公式サイト
今回、自分の過去のある時期、ずっと第1位だと思っていた『幸せの黄色いハンカチ』をはずしてしまった。それ以前は『戦艦ポチョムキン』や『市民ケーン』がずっと3本の指に入る映画だと思っていたが、昨年もその前も20位以内には挙げていなかった。しかし、それらの作品が色あせてしまったわけではない。人生にいろいろな局面が次から次に出てきて、その都度感銘を受ける作品が出てきて、とても20位に収めきれなくなってしまっただけである。
以前挙げた映画以外で、今回も20位内に挙げられなかった気になる候補作品を列挙すると、
『愛を読む人』、『ホテル・ルアンダ』、『シンドラーのリスト』、『砂の器」、『東京物語」、『上意討ち』、『椿三十郎』、『天国と地獄』、『金環食』、『同胞』、『故郷』、『家族』、『学校』シリーズ、『男はつらいよ』シリーズ、『拝啓天皇陛下様』、『無法松の一生』、『人情紙風船』、『ライムライト』、『街の灯』、『モダンタイムス』、『アメリカン・ヒストリーX』、『西部戦線異状なし』、『戦艦ポチョムキン』、『マジソン郡の橋』、『シェルブールの雨傘』、等々。
まだまだ挙げたい映画が多くあり、どれを20位に入れても不思議はない。いずれ、再度見たときに、ランク・インするかもしれないが、本年度は以上とする。
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