【 2018年6月13日 】 いずれも、「TOHOシネマズ二条」にて
『万引き家族』は言わずと知れた本年度のパルムドール賞に輝いた是枝監督の作品。一方、『妻よ薔薇のように』は男はつらいよで誰にも知られた山田洋次の映画。日本でよくありそうな2つの対照的な「家族」や「家庭」を題材にした映画だったが、見た印象、会場の雰囲気も対称的だった。
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『万引き家族』の会場に行くと、平日の昼にも拘らず、会場はほぼ満員。家族ずれや学生の姿も目立つ。やはり《賞を取ったんだから、とりあえず見てみよう》という興味本位の観客が多いように思えた。それを裏付けるように《映画を見るマナー》(そういうものあったとして、その1つとしての-映画を見る姿勢とか)の悪さが気になった。生徒は、スクリーンとスマホの画面を交互に見ているし、ポップコーンをまさぐる音があちこちでしていたり、叔母さん連中はおしゃべりをしていたりで、普段行きつけちる映画館とはだいぶ雰囲気が変わっていた。
映画の中身は、そんな軽々しい内容のものではなかった。『誰も知らない』や『そして父になる』の延長線上にある、現代社会の底流に流れている問題に目を向けたもので、考えさせられることが多い。そういう映画が、国際社会で認められ、賞を取ったという事は、それはそれで意味あることとは思うのだが。
一方の、『妻よ薔薇のように』は2〜3割の入りだったろうか。総じて年配者が多い-それも女性が。
現在、《専業主婦》の存在がまれになり、スクリーンに映るような家族像はほとんど見られなくなっているかもしれない。《イクメン》やらが登場し、《がんこ親父》も絶滅危惧種に入ろうという時代、今更と思う向きもあるかもしれないが、映画の場面場面を振り返ると、やはりそれでも女性は-妻や母親や娘は-今でも同じ苦労を抱えているのだなと思わざるを得ない。
2つの【映画の内容】と【観客席の様子】を見ると、逆のように思えるたし、実際、後者の映画も気軽に、もっと多くの人(やはり、特に男性か)に気軽に見てもらった方がいいように感じた。
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《映画の中身》でなく《賞のタイトル》で映画を見に行く-この国(いや、今は商業主義に浸りきった国は世界どこでもか?!)の文化のあり方を見直さなければいけないのでは。
『万引き家族』-公式サイト
『妻よ薔薇のように-家族はつらいよⅢ』-公式サイト