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『ハマのドン-”最後の闘い”』-賭博は許さない・横浜市長選でカギを握った男の軌跡-民報放送協会スペシャル(テレビ朝日制作・松原文枝ディレクター)を見る!

2022-02-09 16:16:26 | ドキュメンタリー

     【 2022年2月6日 】     テレビ朝日系で放映

 昨年の8月に行われた横浜市長選挙は「カジノ」をめぐる闘いだった。そして、横浜への《IR》誘致へのとどめを打った決定的な出来事だった。

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 2016年にいわゆるカジノ法【総合型リゾート(IR)推進法案】が与党の横暴で成立して以来、導入に向けての法律が次々成立されていき、それに伴い大阪をはじめ長埼、和歌山と全国各地でその誘致合戦が展開された。横浜もその有力地の一つで、ラスベガスを本拠地として最強と言われるカジノ運営会社が名乗りを上げた。近隣には氷川丸の停泊する山下公園があって、元町や中華街にも近く、「みなとみらい」を望める山下埠頭がその候補地として挙がっていた。

      
            【 山下公園・「みなとみらい21」周辺地図 】

 高校を卒業するまで横浜で生活し、大桟橋も山下公園も伊勢佐木町も慣れ親しんだ身近な風景だ。根岸の高台にある高校から、月に1,2度の週末にはまっすぐ家には帰らず、元町か関内駅あたりで電車を下りてあたりを友人とうろついたものだ。当時、横浜駅から桜木町までの、線路から港寄りの敷地(今の「みなとみらい」のところ)は、全面的に三菱造船の敷地で工場が建ち並び、一般市民が近寄るすべもなかったが、山下公圓は現在とあまり変わらず、市民の憩いの場になっていた。マリンタワーはあったがベイブリッジはまだなくて、山下埠頭あたりは倉庫が並び殺伐とした雰囲気だった。今では大黒埠頭はすっかり様子が変わって、赤煉瓦の倉庫群もすっかり観光地の装いを見せているが、山下埠頭は以前のまま貿易港としての機能を担っている。
 そこに、IR・カジノを誘致しようというのだ。

 元来、カジノ(賭博)は日本の法律で禁止されているもので、それを《IR》とか言ってオブラートで包んでも、その本質が消えるわけではない。推進派は《メリット》として「観光による経済効果」、「雇用促進効果」、「インフラ整備による地域活性化」などを挙げるが、その中核である「カジノ」のデメリットの方がはるかに大きく、その悪影響は計り知れない。

 横浜市民は、当然この無茶な計画に待ったをかける。昨夏、コロナ感染の第2波が押し寄せる中、オリンピックを開催するか・無観客にするかもめていた頃、遠く離れた横浜から横浜市長選のニュースが断片的に入ってくる。しかし、地元と違い詳細な状況は分からない。歯がゆい思いで、経緯を見守る。

          
              【 小此木も立候補 】

 林市長が前言を翻し、カジノ誘致を進めることを宣言したとか、市民の反対の声が高まるのを受けて、自民党の小此木八郎(昔、小此木彦三郎という名前をよく聴いたが、その息子らしい)が国家公安委員長の役職を捨て、IR反対を掲げて立候補したとのとかのニュースも入ってくるが、詳しいことはよく分からない。林を見限った自民党(菅首相)の要請を受けたものとも言われていたが、そこに現れたのが、山下埠頭をはじめとする港湾の仕事を仕切っていた藤木幸夫だった。

                    
                           【 命を張っても反対する! 】

 このドキュメンタリー映像を見る以前に、大体のことは聞かされていたが、改めて見るとすごい人物だと知った。

 元々、自分で《横浜最古参自民党員》というように根っからの保守である。菅元首相の育ての親・後見人であり横浜市議時代から面倒を見ていたといい、小此木一家との付合いも深いという。だからはじめは、自分の支配する場所を有利に取引するための芝居を打ったかとも思ったりもしたが、そうではなかった。

         
                     【 菅と並ぶ藤木 】

 戦争体験と《父親の教え》が藤木幸夫の信念を作ったと言うことが、このドキュメンタリーを見て初めて分かった。

            
                 【 父から受け継いだ遺伝子 】


       
            【 市長選・応援する藤木幸夫 】        【 市民の会のポスター 】

                  

 もちろん主役は市民である。しかし藤木のような強力な助っ人がいなかったらどうなっていたか分からない。          

       
                           【 活動する市民の会 】

                       
                            【 盛り上がる街頭演説会 】

 結局、市長選には8人が立候補し、口ではいずれもカジノ反対を唱えていたから、票が割れたり、知名度の点でどうなるかと思ったが、山中候補のぶっちぎりの勝利だった。

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 この番組があることを知ったのは、先月末の新聞紙面で、そこに書いてある内容を見て「これは是非見ないといけない!」と思った。かなり以前、報道ステーションの古館伊知郎がキャスターを降板する際、最後の番組で流された『独ワイマール憲法の教訓』の内容がえらく感銘を受けて印象に残っていたのだが、その特集映像の制作を担当していたのが、松原ディレクターだったと知って、これは是非観ないといけないと思った。

        
            【 番組を紹介する記事 】

 期待に違わず、迫力満点のすごい映像だった。

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 横浜でのIRは無くなったわけだが、全国的にはこれからだ。大阪では維新が手をこまねいて待っている。横浜での知恵と経験を伝えられればいいのだが。さらに、藤木さんのような【確固とした信念を持った】強力な助っ人がいれば、もっといいなと思うのだが。


    
         【 山下埠頭から「みなとみらい21」を見る 】


    
    『ハマのドン”最後の闘い』-民教協の公式サイト
     【 このサイトにある「予告編」に映画のエッセンスが詰まってます 】

    『カジノに反対する市長をめざす市民集会の映像』ーYuoTubeのサイトへ


   参考資料
    『カジノ法案成立ーその内容と問題点』ー解説サイト



 

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