この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「キネマの天地」

2006-07-31 00:21:10 | 以前見た映画
2006年7月29日 BS2放映 山田洋次監督

 大船撮影所が閉鎖されて、もう何年経つのだろうか。でも、映画は活動写真といってまだテレビにその座を奪われていない「よき時代」から始まる。

 「小春」は女優にあこがれ、オーディションを受けるが失敗したと思い落胆して帰ってくる。しかし、その才能を認めた監督は助手を使い呼び戻させる。
 一方、小春のおやじは、その場限りの真剣勝負である舞台と違って、「活動写真」はつぎはぎだらけのまがい物と嫌っている。ましてや活動屋は不良が多いとその世界に入ることを心配する。

 時代は映画の全盛時代を迎える時期で、無声映画からトーキーに移っていく時と重なる。海外ではチャップリンやエーゼンシュタインが活躍していた頃である。世相は軍国主義が台頭しきな臭いにおいがあちこちにたち始めたころと重なる。映画も国策に沿うようにいろいろな圧力がかかるが、それに抵抗する映画人の楽天性がおもしろい。
 
 映画の中には山田洋次の師匠の野村芳太郎や小津安二郎と思わせる人物も出てくる。小春に好意を寄せる助手(中井貴一)は山田洋次のある面が投影されているのか。そんな中で超大作を準備中、主演女優に予定していた大女優が男と「恋の逃避行」に走ってしまう。歴史的事実としては1938年の冬、岡田嘉子が年下の脚本家、杉本良吉とサハリンを越えてロシアに行った「恋の逃避行」を連想させる。

 同じ趣旨で同時期に封切られた「蒲田行進曲」もそれなりにおもしろかったが、僕はこちらの方が好きだ。いずれにしても映画時代全盛の頃の映画人の職人に根性と人間のしがらみがおもしろい。
 その後、映画はその地位をテレビに奪われ産業としては衰退の一途をたどるが、映画はまだまだ捨てたもんじゃない、むしろ出番はこれからという思いを最近強くしている。

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