【 2006年4月 記 】
いわゆる皇室記事は好きではない。ましてや皇室特集を組んだ女性週刊誌など買って読もうとは決して思わない。(男だからというのでなく。)そもそも他人の私生活に踏み込んで、のぞき込んで何が楽しいかと思う。それも自分らとはかけ離れた世界の皇室となったらなおさらという感じ。
右も左もわからない年の頃は、あんな豊かな生活を保障されて国の代表みたいな顔をして世界中にも行けて、しかもどこでも歓迎されていいなと、ぼんやり思ったことはあったが、「ローマの休日」のアン王女(オードリー・ヘップバーン)を観て「皇族も楽じゃないんだな。」と、これまた漠然と思っていたのが遙か昔。
一昨年だったか、現皇太子が雅子さんに関しての「人格云々」の発言があったが、この本の問題意識はその辺の事情に関わっている。しかもそのことだけに限定されない視野の広さ、観点の鋭さは卓越している。宮内庁のお偉い面々を向こうに回し軽い語り口で堂々と渡りあっている様子は痛快ですらある。
話は皇室問題にとどまらず安保条約から憲法改正問題にも及ぶ。
「平和憲法は、情けないことに憲法より下位の法律によってとっくに蹂躙されて、実質的に改悪されている。政府与党をはじめ一部野党の言う改憲とは、これでは後ろめたいから、大ぴらに戦争のできる国にしようとしているわけで、次に来るのは徴兵制なんだよ、若者よ!」
「郵政改革だって、アメリカの望んだものだし、庶民の虎の子のお金がアメリカを中心としたマネーゲームに吸い取られてしまう危険がある。」
伊丹万作も住井すえも登場する。
そして終わりに、基本的な人権も参政権も健康保険証も苗字も定年も婚姻の自由もない天皇はじめ皇族の皆さんを自由にする事を提案する。著者は、本のなかで天皇を批判してきたが「天皇に生まれた」ことは彼の罪ではない、という。そして、この本を両陛下にも読んでほしいという。
なんと、大胆で革新的な提案だろう!内容の豊かさに一気に読んでしまった。
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