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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

2015年5月27日-岐阜県奥美濃『冠山』へ-アルペン情緒たっぷりのピラミダルな山容がきれいな山だ

2015-06-03 00:16:14 | 山・旅行


    【 2015年5月27日 】 快晴 

 前日の天気予報から、さてどうしようと考えていたが、当日の朝にネットで気象情報を再確認したら、《雲ひとつない快晴》と知り、急遽出かけることに。  

 行先は、奥美濃の『冠山』と目ぼしをつけていた。『荒島岳』や『三周ヶ岳、夜叉が池』も考えてみたが、急に思い立ち出かけるには時間が足りない。初めから決めていたら、早朝の4時には起きて5時に家を出るのが普通だが、すでに午前6時を回っている。歩くコース時間が長いと、現地まで到達する時間を加えたら、1日では足りなくなる。
 その点、ガイドブックを見ると『冠山』は歩程2時間50分と、3時間もかからない。これなら私の足でも4時間以内に往復できると思い、そこに決めた。それに、自分好みのアルペン的な山が気に入った。
 武生から東に入った池田町から、林道が山頂近くの登山口まで通じているらしい。そこの登山口からは、標高差も200m程で、距離も往復で5kmあまりだ。これなら楽ちんと思う。


                   
                                【 京都から冠山までの道のり 】 (グーグル地図より)
(

 車で家を7時10分に出発し、修学院から大原に抜け「途中越え」を通り、「花折峠」を通過して「鯖街道」を北に進む。湖東の「名神高速」を回っていくのは遠回りでお金もかかるし、時間的に大して変わらない。カーナビの案内で、池田町田代の林道近くまでの到着予想が名神経由で【走行:197km、10:40到着】と表示されていたのに対し、朽木村を抜け161号を通り、敦賀ICから「北陸道」に乗って、武生ICでおり、417号線で現地に着いたのは、10時40分と全く同じ時間だった。走行距離は165kmあまりだからだいぶ近道である。

         
                  【「朽木村」付近の安曇川 】


 この分だと、午前11時過ぎには登山が開始できると思い、池田町に入ってからは、それまで飛ばしていた車をゆっくり走らせる。

                                      
                                  【「名神・武生IC」でおり、池田町に入る-「和紙の里」付近の趣ある民家 】


 ふと、工事の案内看板らしきものが目に入る。何だろうと思い、車をバックさせて確認すると【池田町田代〜全面通行止め】とある。「田代」とはどのあたりだろうかと考えながら進む。
 《目指す『冠山峠』の先なのか手前なのか、それとも別方面なのか
 車は、どんどん山の中に分け入っていく。10kmも進んだだろうか。山が迫り、目的の峠らしき稜線も見えてきて、通行止めの気配がないことに、心配していた気持ちがちょっと和らぐ。


               
               【「積雪のため、通行止め」?-それはないだろう-と思い、進む】

 いよいよ林道に差し掛かるのではという場所に来て、通行止めの看板。「来たか!」、と思い近づいて見ると、「積雪で通行止め」とある。まさか、積雪とは-それはないだろうと無視して先を行くと、今度は《脅しの看板》でなく、「関係者以外、進入禁止」の【通行止め】のフェンスが道を半分塞いでいる。

 はたして、ここはどのへんだろうと、車を脇道に入れ、初めて持ってきたGARMIN社製の『GPS』とにらめっこをし、《ここまで来て退散する手はないだろう》と思いながら、付近の山の稜線あたりを観察する。

 とりあえず、準備を整え、登山靴に履き替え、あたりを歩いてみることにする。ダンプがしきりに行き来するのでなんだろうと思っていたら、トンネル工事をしているのだ。


         
                                             


 それで、「通行止め」なのかと悟る。

 午前11時20分。『GPS』で経度緯度は分かっても、本格的な紙の地図がないから、おおよその場所が把握できない。黙って帰るわけにはいかないから、先に進むことにする。

 しばらく進むと、バーが下りていて「本物の通行止め」である。これでは工事現場を強引に突破しても、これより先には進めない。



                                              
                                                      【ほんものの「通行止め」】

 
 バーを徒歩で通過して、先に進む。
 山の方を見上げると、稜線が近くに見え、もしかしたらあれが「冠山」に続くかと思える稜線も見える。そうだとしたら、峠までそう遠くないように思えたし、《いくらなんでも2時間も歩けば「冠峠」につくだろう、だめならそこで引き返そう。往復6時間かかっても、5時には戻ってこれる。》、と


     
                         ガイドブック「関西100名山」より転載


 工事現場をだいぶすぎ、見通しがよくなって、頂が見渡せる場所に来ると、工事関係者か、地図と望遠鏡を持ち、観測機器を地面に据え、レンズの向こうを覗いている作業姿の青年を見つけた。

 「こんにちは。冠峠はどの方向ですか?ここから、どのくらいの距離ありますか?」と聞くと、指を差し、
 「あの尾根の向こう側になるかな」と言い、「道のりは、だいたい7〜8kmというところですかね。」と地図とにらめっこしながら答えてくれる。私が、地図を覗こうとすると、
 「あまり、ひとには見せられない地図なんで・・。」とさえぎるので、遠慮する。
 「そうですか。7〜8kmもありますか。」
 「あれが『冠山』です。峠はずっと向こうを回っているので、見えないですね。」

                                     


 そうは言われても、あまり実感がわかなかった。『冠山』は目の前に見えるし、今までの登山の感覚からいうと、2時間もあれば着けるような距離に見えた。
 「行けるところまで、がんがって登ってみます。」と言い残し、上に向かう。


 林道はコンクリートで舗装されていて、味気ないが、岩がゴロゴロして木の根っこや段差が不規則にある登山道より歩きやすい。通行止めなので車も通らないのがマシである。
 くねくね曲がりくねって距離を進む割には高度を稼げない林道を2kmも進んだだろうか。時間にして30分ほどである。ようやくここにきて、道の曲がり具合からして、どの辺にいるか、おおよその場所が分かった。


     
                       【「カシミール3D」で作成】


 観測の青年がいた場所は、後から調べてみたら、【A10014】ポイントのあたりである。これだと、やっぱり峠まで7〜8kmあったことになるが、実際に歩いているときは、もっと楽観視していた。




                                       
                                        【「冠山」頂上直下からの沢が林道と合流する、頂に一番近い地点 】


 『冠山』の頂上がまじかに迫ってくる。足は快調である。平地を歩くときと同じような速さで前に進む。その前にも雪の残骸を道路の端に見ていたが、頂上直下からまっすぐ降りてくると思われる沢沿いに差し掛かると、雪渓の末端らしき大きな雪の塊があった。さして高い山でもないのに、この時期にまだこんなに雪が残っているとは思ってもみなかった。『積雪で通行止め』もあながち冗談ではないようだ。


     

     
 雪が道路をふさいでいると思ったが、近づいて見ればちゃんと通れる。そこから道は大きく右に迂回し、頂上から遠ざかっていく。なかなか峠にはつかない。だいぶ歩いて、もう峠は近いのでと思っていたが、そうではなかった。時刻は12時半を回っている。歩き始めて1時間半が経過している。「ポイント4」の標識を見てがっくりきた。『峠まであと4km』と書いてある。だいぶ歩いて、もう峠は近いのでと思っていたが、まだ半分しか来ていないことになる。


            

                                  
                                       【「ポイント4」から登って来た林道を下方に見る 】


 気を取り直して歩き続ける。頂上から大きくそれた道が、左に180度回転して、頂上の方向に向かう。鶯がしきりに鳴いている。

       
              【「055林道大曲」ポイント付近から北方の山並み】


 ようやく、13:30分、「ポイント1」に到着。あと峠まで500mの標識に元気着けられる。疲れてきた足を運びながら前方を見ると、車と人影が見える。また工事関係者かなと思って近づいていくと、一般の登山者だった。よく見ると、手前にゲートがあって、人も車もその向こう側である。《思わぬ方向から人が来た!》という好奇の視線を、皆こちらに向けている。



       




 話を聞けば、徳山ダムの方向から上がってきて、「この先と通れないので引き返す」というツーリングのおじさんもいた。(こちらも結構なおじさんだが。


        


 そうだったのか!岐阜県側からだったら登山口まで車で来れたのだ。「2000年度版」のガイドブックを鵜呑みにしたのはうかつだった。「徳山ダム工事のため、林道は頻繁に通行止めになる」と岐阜県側の林道に注釈が入っていたのを深く考えもしないで、ガイドブックの案内の通りの「福井側」から入ったのが間違えだった。だいたい、「徳山ダム」の工事なんて、とっくの昔に終わっていて、村はダム湖の底に沈んでしまっているではないか! 後悔しても始まらず。

 しかし、ゲートをまたぎ、登山口広場に足を進め、左の風景を見たら、疲れがいっぺんに吹き飛んでしまった。

 ああ、これが『冠山』か! 納得! ガイドブックに偽りなし! 《アルペン的な景観では奥美濃随一の山》、と。


            


 午後1時40分、山の姿をじっくり眺めながら、遅めの昼飯のおにぎりをほおばる。満足だった。こんなきれいな山の姿をここに来て見られるなんて!

 一息ついてから、どうするか考える。頂上はもう目の前である。ガイドブックでは、ここから往復3時間弱とある。はたしてそんなにかかるのか。1時間あったら行って帰ってきそうな距離に見える。でも、今回は何度も錯覚に騙された。
 頂上から降りてきた人がいたので、たずねると、やはり片道1時間以上はかかっているようだ。時間は午後2時。やはり頂上に立ちたい。考えた末、下山に3時間はかかるから、3時までにこの登山口に戻れる地点まで行ってみよう、と。


             
                                           


 登山口からみれば平坦そうに見える頂上に至る道も、進んで行くと、アップダウンがかなりある。頂上に向け直角に右に曲がるピークの地点まで来た。ここまで約20分である。そこから道は下り、頂上直下の「冠平」に登り返すように続いている。やはり、片道1時間はかかりそうである。
 引き返すことにする。その前にもう一度、周囲の山を見渡し、山の姿を目に焼き付ける。


                                 

 
 駐車スペースのある登山口広場に戻ったのは、予定通り午後3時。
           

                                              
                                                    【「能郷白山」もまじかに見える 】
      
           【徳山ダム方面に続く林道】


 またいつか戻ってくることを誓いながら、下山する。
 あとは、ひたすら長い林道の下山路が続く。


           
                   【「冠山」頂上を下山路から望む 】
      
                                          
                                            【 あそこまで下るには、あと1時間以上かかるかな?】

 足の底が痛くなってきた。惰性に任せ、交互に足を運ぶ。雪渓のある地点を過ぎ、先ほど、上から《あと1時間》とみていた地点も過ぎ、谷を大きく右に迂回し、突き当りまで行って、左にヘアピンカーブをきる「ポイント8」までたってきた。あと2kmもないはずだと、ほっとする。

                                               
    
        【「ポイント8」(A10025)の地点まできた、あと2km弱だと、安心する】                                  

 ダンプの姿はもうなかったが、掘削現場をすぎ、トンネルの入り口も過ぎ、ようやく5時45分、車のところに到着。


                           


 帰りは、近くの「立ち寄り湯」にでも浸かって帰ろうと思ったが、そんな余裕はない。

 来た道と同じコースを通って、午後8時50分、自宅に到着する。

                                    【おわり】





   2015年5月27日-岐阜県奥美濃『冠山』へ
   

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