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『橋下主義(ハシズム)を許すな!』-(その3)-2012年1月の一ヶ月間の動きを追う

2012-02-05 23:32:05 | 雑感

【2012年1月31日】

 年が明けて早々から、大阪が騒々しい。
 新聞記事で目にする範囲でこの間の動きを、記事の見出しで列挙すると以下のような具合だ。

  1月 4日 橋下市長:二元行政解消「一丸で」、年頭あいさつで職員に訴え

  1月 5日 橋下・大阪市長:「労組活動、条例で規制」
       庁舎内事務所退去も要求 組合活動、条例で適正化 

  1月11日 橋下・大阪市長:道徳教育「監視機関を」--設置方針

  1月13日 橋下大阪市長:君が代起立条例案、2月市議会に提案へ

  1月16日 橋下市長:大阪市の人件費80億円削減方針

  1月26日 橋下市長「文科省と勝負になる」教育基本条例案

  1月28日 橋下市長「人事権を直轄行使」、人事室創設へ

  1月30日 大阪教育基本条例案 府立高の学区、14年度に撤廃
 
 という具合だ。

 
  で、今日の紙面を見ると、いよいよ教育行政に直接関わってくる露骨な姿勢を見せてくる。府立高校の現在ある4学区を14年度に解消するという。府教委には当然慎重意見もあり反対したが、松井大阪府知事と橋下大阪市長が押し切ったという。どうして府教委との話で橋下市長かと思うが、『維新の会』の代表という名目のようだ。これも『「一丸で」二元行政の解消』のなせる技か。
 「学校間格差が広がる」とか「近くの高校に通えなくなる」という声に、市職員の私学への通学の実態調査を指示したり、「バス代も出せないと文句をいうなら日本からでていけばいい。」と暴言を吐く始末である。

 また別の日に、橋下市長は、記者団に「教職員組合の価値観で道徳教育をされるのは危険だ」と述べ、監視機関の必要性を強調したという。

 「道徳は一番危ない。心理的なマインドコントロールになりかねず、政治から距離を置くべきだ」と主張。教職員組合について「政治的主張、政治的活動をやっている。君が代を立って歌うことについてぐちゃぐちゃ言うような道徳をやられたら、たまったもんじゃない」と述べたという。

 何か、話があべこべのような気がする。政治が教育に介入し強制的な処分も交えて「マインドコントロール」をしようと考えているのはどちらかと言いたい。それで、教職員組合を敵視し、組合運動全体を目の敵にし、団結権をないがしろにし、庁舎から追い払おうとする。


 そんな中で『教育基本条例』の修正案をめぐっての府教委との話し合いも目が離せない。
 報道によれば25日夜、橋下『維新の会』代表は、2月議会に首長提案する『維新の会』の修正案に、「教育目標を果たさない教育委員を、首長は職務義務違反と判断できる」との内容を盛り込む方針を松井一郎・大阪府知事に伝えたという。

 もともと『維新案』は「知事の定めた教育目標を果たさない教育委員は罷免できる」と規定しているが、文部科学省が「知事には教育目標を定める権限がないので罷免理由にできない」と指摘されたため、「職務義務違反」の規定を盛り込めば、修正案に「罷免」の文言を入れなくとも現行法に基づき罷免が可能との判断と言われている。

 悪知恵はいくらでも働くようである。

 府教委は、この条文を対案から削除していたが、「最終的に首長が教育の基本計画を決定する」と押し切り、橋下市長は「文科省と勝負になる」と息巻いているという。

 国と争うならもっと前向きなところで争ってもらいたいものだが、悪政を更に後退させるために勝負するなど筋違いも甚だしい。


 人件費については、2400億円の一般会計予算を、給与カット・人員削減で総額2割カットを念頭に指示したとある。「職員給与は平均7%カット、退職金も初めて一律5%カットする。」という。
 市民感覚を無視したとんでもない職員は京都市などでもいる。しかし、民間と公務員を対比しして総じて民間は厳正でかつ《効率的》で、その一方公務員は生ぬるいという前提での《公務員たたき》はどうかと思う。《庶民受け》はするが、「そうだそうだ!」と言っていると今度は自分の足下をすくわれかねないことをわかっているのだろうか。

 今や、役所の窓口には非常勤職員が並び、バスの運転手の半数近くは民間委託の派遣社員という。公務員でさえもこういう現状なのだ。

 総額で2割カットというのはむちゃくちゃである。自らの退職金をカットしたからと言って、おいそれと同意できることではない。10日間だけ在職して何百万、何千万という退職金はもちろん言語道断であり、そんな規定自体がおかしいが、『有名人』には他にいくらでも収入源があり、その程度のパフォーマンスは、効果に比べれば何でもないことのように思える。
 『一般人』と混同してもらいたくないし、地道に働いてどうにかこうにか遣り繰りしている庶民の給与を簡単に2割カットなどというのは、とんでもなく現実を無視した話である。

 報道によれば「来年度から一般会計で総額80億円を超える人件費を削減する。」とあるが、公務員と民間の給与・処遇は表と裏の関係である。公務員の給与は民間の給与を参考に人事院が勧告して定められ、また民間の給与は公務員の給与が下がれば当然それを理由に、あるいは経済が落ち込むことで、また下げられる。


 橋下市長は「組織は予算と人事権で動いている」と言っているそうであるが、まさにその通りだ。だから予算は公正でないといけないし、人事は個人の思惑に流されないように極力、客観的基準で異なった立場の複数の視点から評価されるべきだ。

 職員の人事編成はこれまで、市総務局が担当してきたものが、橋下市長は就任後、「直轄の人事室の創設をする」といっていた。また、「大阪市幹部人事に有識者の面接を導入する」とも言っている。その有識者というのは、中田横浜元市長であったり、財界人であったりと、いずれにしても橋下市長の息のかかった人たちである。
 庁内の幹部人事にも橋下市長は「外部有識者による面接を導入することを決めた。」というから「人事権を直轄で行使する。力がないと権力機構は変わらない」とする言葉と併せて、いよいよ府も市も橋下徹自分自身ですべてコントロールするつもりらしい。

 当初は《公選》という言葉もあったが、いつの間にか《公募》に変わったが、同じ『』という字が一字入っていても中身は大違いである。
 その公募することになった区長にも1200人超の人が応募していると言うことだ。採否の最終判断を市長自身がすると言うから、どんな人物が区長に採用されるか想像に難くない。また、《実績》があがらなければ、任期途中でも罷免するとまで言っているのだから、首根っこを市長に握られているといっていい。どんな《成果を上げてくれるか》見物である。 


 

 【2012年2月5日】

              
                 【大都市制度推進協議会への参加をめぐり、竹山修身・堺市長(右)
                  に条例案提出を求める橋下徹・大阪市長(左端)と松井一郎・大阪
                  府知事==大阪府庁で3日午後1時58分、幾島健太郎撮影】
                   『毎日新聞』 4日朝刊より


 そして作日、写真入りで松井知事と橋下市長のふたりが竹下・堺市長に『大都市制度推進協議会』に参加を促す会談の記事が出ていた。その場で、竹下市長は『協議会』の設置条例案を議会に提出することを拒否したが、それを受けて松井知事は次回市長選で《刺客擁立》を示唆したという。
 「私の言うことは全て民意と思ってもらいたい。」と日頃、口癖のように言う橋下市長と共に、権力を独り占めにしようとする《恫喝屋》の本領発揮である。

 これは2元行政の解消どころか、『きわめてたちの悪い地方自治への介入』である。

 「知事選での堺市民の民意はとりあえず無視される形ですね。」と橋下代表が言ったのに対し、「堺市には自由と自治の伝統が根強くある。政令市として発展していくのが市民の大半の願いだ。」としたうえで、「堺市を分割する民意はないと思っている。」と反論した竹下・堺市長の心意気を買いたい
 



 そして今日5日、「橋下市長・全国の労組改める」とのタイトルで、「労組が社長の人事権を持てば、社長が従業員に支配される。」とし、更に「全国の公務員組合を改めていくしか日本再生の道はない。」とまで言い切っている。労組にもいろいろあるかもしれないが、『大きなお世話』以上に労働組合運動も労使関係の《いろは》もわきまえない、でたらめな話である。

 橋下市長は別のところで「人事室は役所を動かす要」と位置づけ、「人事権を直轄で行使する。力がないと権力機構は変わらない」と言っている。職員からは「上司の顔色だけをうかがう組織になりかねない」と懸念も出ているというが、これが『独裁体制』を目指す組織作り以外の何であろうか。


   ○

 こんなバカなことを許してはいけない! 大阪の府民、大阪市民、堺市民、他の市町村の住民がんばれ! 地道に働いている公務員、教職員もがんばれ!



関連ブログ 『「橋下主義(ハシズム)を許すな!」-独裁者の野望と矛盾を衝く!』
       『「橋下主義(ハシズム)を許すな!」-独裁者の野望と矛盾を衝く』(補足)
       『「金日成の死去」と「橋下大阪市長の就任」-先行き不透明な世の中』
       『最近の世の中を取り巻く状況を憂う-TPPと消費税、沖縄基地、ユーロ不安と、そし「橋下独裁」』
       『「黄色い星の子どもたち」-ナチ占領下で起こったユダヤ人一斉検挙事件』

 



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