8月7日の未明-午前3時半に京都から、午後1時の所用に間に合わすため、名神高速・東名自動車道を使い横浜へ向かう。新幹線を利用した方が早いが、滞在先での便宜を考えると車だった。
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あわただしい日程を終え、所用の合間をとって、皆で街にでる。
『横浜みなとみらい21』までバスで20分程で行ける。
帆船『日本丸』の前にそびえる『ランドマーク・タワー』は圧巻だ。
過日、高さでこのタワーを抜いたという大阪の『アベノ・ハルカス』を見てきたが、風格はやはり『ランドマーク・タワー』に軍配があがる。地元の贔屓目で見ているのかもしれないが、それまで日本一の高さの『ランドマーク・タワー』の高さに4mほど上積みして、《ともかく高さで日本一になった》という実績だけを稼いだような《せせこましさ》を感じる『ハルカス』とは違う。
『エッフェル塔』と『東京タワー』を比べた時も同じようなことを感じた。324mのエッフェル塔を抜いて、当時世界最高の332mのテレビ塔となった東京タワーを、日本のシンボルとして自慢したものだったが、パリの「エッフェル塔』を実際に見たら、そんな思いも吹き飛んでしまった。
かつて、東京が《世界最大の田舎》と揶揄されていた時があった。パリの人口をとっくに追い抜き、「東洋の奇蹟」と言われた戦後復興を成し遂げ、《大都会》を誇ったはずだが、都市としての基本機能を持たず街にはゴミが散らかり、人口密度だけがやたらに高い東京は、西洋の人から見れば《エコノミック・アニマル》が住む巨大なスラム街に見えたのかもしれない。
それに比べ、パリは都市大改造がなされ、下水道が整備され、広い道路には街路樹か整然と植えられ、凱旋門から見た街並みは放射状に道路が延び、これが『花の都』だと実感させてくれる。その中で、ゆったりと敷地の中に周囲の環境も整えられた場所に佇む、洗練されたデザインの塔の姿を見たら、世界一のテレビ塔-テレビ塔を越えた芸術品だと思う。
雑然とした環境の『東京タワー』とは別物だと。
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別の日に北鎌倉に母らを連れて車で出た。
磯子を出発点に、鎌倉街道を進み、北鎌倉から『建長寺』の横をすり抜け『鶴岡八幡宮』の正面に出て、それを背に海岸線まで一直線に伸びる『若宮大路』を南進し、『由比ヶ浜』『稲村ヶ崎』『七里ヶ浜』を通り『江ノ島』まで行くのが中学時代の週一回のおきまりのサイクリングコースだった。横須賀や三浦半島最南端の『城ヶ島』まで足を伸ばし、帰り道に鎌倉を回って戻るコースもよく通った。だから、久しぶりに-『城ヶ島』は無理にしても-北鎌倉には行ってみたかった。
円覚寺に車を置いて、境内を散策する。こんなに広かったのかと思う。一番のお目当ての『舎利殿』は見ることができなかった。記憶が定かではないが、『舎利殿』の場所も変わったように思う。以前は、「日本むかし話」に出てきそうな、頭でっかちの素朴な風情の『舎利殿』の全容が見れる場所にあったように記憶しているが。
昔は、そんなことは全然感じなかったが、鎌倉はやはり幕府の置かれていた場所の《土地の風格》のようなものを感じる。
材木座海岸から、大混雑する江ノ島方面の道を回避して、逗子から六浦を回り、磯子に戻る。
翌日、どうしても【横浜に来た以上、絶対に食べたかった】が、それまでチャンスがなく、食べることのできなかった『一品香』のタンメンを食べて、納得して京都に帰る。
2014年8月、横浜へ-「みなとみらい21」と北鎌倉を訪れる