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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『戦争のほんとうの恐ろしさを知る財界人の直言』の著書で、経済同友会終身幹事の品川正治さん亡くなる

2013-09-08 20:20:12 | 世の中の状況について
 
      【2013年9月7日】記

 昨日の新聞で品川さんが亡くなったのを知った。

 以前読んだ『戦争のほんとう恐ろしさを知る財界人の直言』は、財界人の中にもこんな人がいるのだという驚きと、その本の中で書かれている、自らの戦争体験からくる平和の尊さと、日本の平和の基礎となっている「憲法第9条」をこの国が持っている意義を淡々と、しかも確固たる信念を持って語っているその姿勢に感銘を受けた。

 いま改めて、その本と自分の書いたブログを読んでみたら、最近書いたもののような《錯覚》を覚えた。本の内容は全くその意義を失わず、むしろ現在の世情に警鐘を鳴らしているかのようである。


 その本が出版され、ブログを書いた2007年6月は、まさに『第1次安部内閣』が軍国主義の道を求め、憲法改悪を探っている真っただ中だった。

 だから、2012年の12月に総選挙で勝利し、ゾンビのごとく生き返った自民党の最右翼・安部総裁が組閣した『第2次安部内閣』が発足して、以前にも増して過激に戦争をする国へと舵をとっているこの時期に、この本で訴えている内容は、より増して時宜にかなっているものになっている。

 『憲法第9条』改悪の壁が厚いと思うと、今度は『憲法第96条』を取り払い外堀を埋めてから、《自由に》《自分らの都合のいいように》、憲法を変えようと姑息な手段に出ようとしている。
 
 同時に『集団的自衛権』の《拡大解釈》で、内閣法制局長を《自分らの主張と同じくする》都合のいい人物にすえ換えることまでして、現憲法下での《戦力行使》を可能にしようということを並行して進めている。(歴代の内閣法制局長は自民党政府のもとでも、『集団的自衛権』の行使は不可能と答弁している。)


 
   今一度、著作の中から、前回のブログと重複する部分もあるが、現在の自分らがしっかりと記銘しておかねばならない言葉を再度あげておこう。


 『はじめに-日本とアメリカとの価値観はまったく違っている』で、以下に論じる基本的な視点-座標軸-をまず示している。

 『アメリカは戦争をしている国です』(P-3)
 それに対し、
 『一方、日本は平和憲法を持っている国です。・・中略・・この苦痛の教訓から、戦争をしないという価値観を築き上げてきた国が日本です。
  日本とアメリカの、この二つ国の価値観は、まったく違うのです。このことを前提にして社会を見ないと、大きな間違いをしてしまいます。
  ところが、小泉首相は(今は安倍首相が)、アメリカと価値観を共有していると言い、”アメリカの的は日本の敵だ”とまで言い切っています。
  アメリカが勝つために協力することが、日本の国益のための絶対的要請と考えているのです。
』(P-4)
 

 日本が現在平和憲法を持っていて、まがりなりにも平時を保っているのに対し、

 『アメリカは戦時に入っています。ですから戦費を調達しようと、(前国防長官の)戦争の張本人を、世界銀行の総裁にしている訳です。』。

 この辺の強引なやり方は、自分の息のかかった人物を日銀の総裁にしたり、内閣法制局長に好戦派の元大使を据えたりしている現首相とそっくりではないか。
 そして、「日本が相手にしている国は基本的にアメリカである」と述べて、

 
 『「グローバリズム」は経済用語でもなければ、世界共通の価値を追求するスローガンでもなく、それはアメリカの「戦略」用語である。』(P-79)
 『グローバリズムというのはアメリカにとっては、戦争にすべてを動員していってる戦略なのです。』(同)
 『ところが、日本はその戦略、グロバリズムの戦略に乗ってしまった。』


 これは現在、「オスプレイの配備」や「TPP」でのアメリカの圧力に現実的に現れている。

 そもそも、戦争を遂行している国と平和を国是としている国とが同じ価値観を持ち得ないにもかかわらず、あたかも同じ価値観をもって一心同体のように行動すること自体がおかしい、という。

 『「成長がどうであろうと、国家は国民のこれだけは守ります」というのが、本当の福祉なんです。』
 『ところが日本の場合には、すべての問題を「成長」という形に絞っている。常に「成長すれば、これだけ出しますという言い方になるわけです。』
 『経済というものは、国民生活に、はっきり言って「従属」すべきものなのです。』(P-83)



 今、憲法第九条を一番変えたがっているのは、他ならぬアメリカである。戦場でアメリカの肩代わりを日本にさせるのに一番の障害になるのが第九条である。同時に、日本の極右的な指導部の危うさも知っていて、

 『憲法第九条を変えるのに関して、失敗した時の恐さというを、アメリカの方がよく知っているのです。』
 『失敗すれば、世界第二位の日本が、アメリカと全くイデオロギーが対立する国であることを世界に示したことになります。』(P95)


 そして一番、肝に銘じておかなければならないことは、次の言葉ある。

 『世界第二位の経済大国が、自分の国の国益のために、あるいは国家主権の発動によって、一人の外国人も殺していないという歴史は、世界史にはありません。私はこれ一つ見ただけでも、いまの「改正」の動きはいかに戦後史に対する大きな冒涜であるかと思います。』(P-43、P-102、P104)


   今再度、読んでみても示唆に富んでわかりやすく書かれた本だ。是非一読をお薦めする。


         ○         ○         ○


  
 この9月21日(土曜)に京都シルクホールで「憲法九条京都の会」主催の『憲法集会』が開催されます。
 豪華メンバーです。ぜひ参加してみてください。


   結成5周年記念 講演・ライブ&全体会
    【日時】 2013年9月21日(土)開場13:30 開会14:00
      (~16:30閉会予定)
    【場所】 シルクホール(京都産業会館8階)
    【参加費】 無料(*会場カンパをお願いすることがあります)
    【主催】 憲法9条京都の会 http://9-kyoto.ne.jp


       『9条京都の集い2013 スケジュール』
     ●ライブ
      野田淳子さん(シンガーソングライター)
     ●スピーチ(代表世話人より)
      安斎育郎さん(安斎科学・平和研究所所長)
      益川敏英さん
       (京都産業大学教授・名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長)
      有馬頼底さん(臨済宗相国寺派管長 金閣寺・銀閣寺住職)
     ●講演:小森陽一さん
       (九条の会事務局長・東京大学教授)
        「憲法のあらたな動きとこれに対決する私たち」
     ●全体会
      活動の報告と今後のとりくみ等
      京都・平和アピール 2013
     ●アピール
      賛同団体・個人から9条アピール
      9条世界会議・関西2013 からの訴え


      『2013年9/21(土)憲法集会』-案内のサイト



      
      『戦争のほんとうの恐ろしさを知る財界人の直言』-以前書いたマイブログへジャンプ






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