この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『みんなで一緒に「貧しく」なろう』

2006-06-11 14:03:46 | お薦めの本
 著者自身ジャーナリストだから、ジャーナリズムのあり方から話は始まる。プロローグ〈譲れないこと〉として最近の報道のあり方を巡り、永田議員の「偽メール問題」と「下地島の軍事化報道」と対比されて疑問を提示する。

 最近のことだがこの本と以前読んだ「明仁さん、美智子さん、皇族をやめませんか」に関連して「おかしいんでは」と感じたことがあった。
 天皇が東南アジアの歴訪に際して行った記者会見の場で、教育基本法の改定を巡り、天皇や国家への忠誠心等の扱い方に関し、すごく遠回しに「戦前の暗い世の中につながるようなことの無いよう希望する」みたいな発言をしているのをたまたまつけたTVの画面でみていた。短時間で一瞬のことだったから後でもう一度ニュースを見ようと、その日なんべんもニュース番組を見たが、それっきりだった。新聞だったらもう少し詳しい報道があるかと2~3の新聞を見たが、マレーシア・タイ等東南アジアを訪問することしか書かれていなかった。
 天皇は政治問題に関わることはできないくらいのことは当然知っていると思われるので、その上であの発言をするというのは、重大な決意で望んだと思われる。しかし、その後音沙汰なしである。そこまでジャーナリズムは情けない状況なのか、あるいは何かの力が働いたのか、と思わざるを得ない。

 小泉・竹中ペアが政治の表舞台に登場してきてから、アメリカの意向に全面的に沿った形で規制緩和が進められてきたが、ここに来て格差社会はひどさを増すばかりである。著者はそれ以前の著作でも、その弊害を一貫して述べているが本書でも変わらない。

 で、結局、「誰のための世の中をつくりたいか」という問いに対し、「みんなが幸せになれるようなよのなかにするんだ」「戦争だけは絶対に起こさない世界を~」という結論しかありえないと断言する。
 そのためには、一部の超エリートが利益を独占するのでなく、「みんなで一緒に貧しくなればいい」と。格差こそが戦争の大きな原因の1つだと。

 ヘーゲルが遠い昔、フランスに比してドイツの後進性を「合理的な物は現実的であり、現実的な物は合理的である。」といって「民度以上の政治は現れない」ことを揶揄したが、著者も「民度以上のマスコミも現れない」と言い、「~一般の人がもう少し真剣に自分の頭で考えること~」を読者はじめ一般の人に期待している。


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