【 2013年2月20日 】 京都シネマ
予告編を見たときは、もっと様々な人間模様が描かれると思っていたが、期待はずれだった。
《時と空間》を限られた刑務所の面会室で、過去の凝縮された人生が凝縮された形で発露されるものと思っていたが、そこにあるのは断片的なエピソードばかり。
刑務所に収監されている人物の身代わりに《入れ替わる》ことを金で買わされる生活苦の男。
遠い外国で、子どもを失ってしまった母親。
行きずりの恋人が、犯罪を犯し収監されてしまっ思い悩む少女。
それぞれの話が、何時どのように結びつくのかと思ったら、全く関係のない話のようだ。1つ1つの話にも必然性や実感が感じられない。つまりピンと来ないのだ。
映画冒頭の、《助けてくれ》と泣き叫ぶ女性は、いったい何だったのか。とうとう最後までわからなかった。
個々の出来事の羅列であっても、もう少しテーマに統一性があってもいいと思うが、何も結びつかず、最後まで結局何を言いたいのかよくわからない、監督ひとりの思い込みだけが残る作品だった。
『愛について、ある土曜日の面会室』-オフィシャルサイト