この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「ダーク・ブルー」

2006-11-08 23:21:09 | おすすめ度No1
2006年10月28日[みなみ会館]

以前の公開を見逃してしまった。今回、短期間のレイトショーだったが必死で時間をつくり見に行った。評判通りいい映画だった。

第2次世界対戦下の欧州を舞台にした飛行機乗りの友情と恋を交えた物語で、時代背景も巧みに織り込まれ、見た後に深い印象を与える完成度の高い映画である。


戦時下のチェコにナチが侵攻したあたりの時代から戦後の混乱した不遇の時代の映像が交錯して現れる。

ナチの侵攻に対し無抵抗武装解除を見てフランタとカレルの二人はイギリスに渡り西部戦線でナチ・ドイツと闘うことを決意し、実行する。イギリスに渡っても始めはよそ者ということことで自転車を使った子供遊びと思える地上での演習に明け暮れる。そんな中、出撃命令が下される・・・・・・。

    ○    ○    ○

 誰の作品かと思ったら「コーリャ、愛のプラハ」のヤン・スヴィエラーク監督だった。第2回だったか「京都映画祭」の招待作品で人間を見るあたたかな視点とユーモアが印象的だ。
 今回の「ダーク・ブルー」も鋭く的確な政治的視点と人間への暖かい視点は健在である。

 この映画を見たときにすぐにアメリカ映画の「メンフィス・ベル」を思い起こした。期せずして、その直後NHKのBSで放映されているのを見て、これはこれでいいと納得した。
 
 戦争という極限状況はいろいろなことを考えさせてくれる。

 戦争映画を観てその映画を「好戦的」か「反戦的」かととるかは、もともとその意図を明確にしたものは別として、観る者の視点によって変わってくることもあるし制作者の演出によっても左右される。木下恵介は当時の軍部から戦意を高揚させるための映画を要請され「陸軍」作ったが母を演じる田中絹代にはそのようには表現させなかった。野村芳太郎の「拝啓天皇陛下様」もタイトルとは違って反戦的に読み取れる。

 戦争は絶対いやだ。だから、戦争映画を観る。戦場での友情が真の友情だとか、戦場でこそ、そこでしか本当の絆が結ばれないとも思わない。でも、そこでは国のためでなく、戦友のために戦うというのは真実かもしれない。

 「紅の豚」のロマンと「メンフィス・ベル」の友情と「西部戦線異状なし」の反戦精神を併せ持ったいい作品だった。


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2 コメント

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Unknown (kosumo)
2006-11-12 16:29:03
 戦争のない現代に生まれ育った者には、戦争というものがピンときません。だから戦争映画には抵抗がありますが、解説の中で少しずつ理解させていただいています。
 戦争とは、もとは人と人の心の争いが発展して引き起こされるものと考えます。私自身もできるだけ争わない形で物事を解決していきたい。けれど実際心の中は戦争だらけ、時に断崖絶壁だったりします。
 平和を守るということは並やさしいことではありませんね。でも相手や、周囲の幸せを考えたら自分の思いを捨てることくらい平気にならなければと思っています。犠牲が最小限で済むのなら。
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ありがとうございます (y-inosan)
2006-11-14 13:03:01
 kosumo さん、コメントありがとうございます。
 私も戦争を知らない世代ですが、両親から横浜空襲のの話をよく聞かされました。おかげで、小学校の頃は家の前の小学校の向こうからグラマンが現れて機銃掃射を受ける夢を見たりしました。戦争の原因には宗教対立、民族対立もありますが大元は経済的な理由、利害関係からくる支配・被支配の関係だと思っています。一方に貧困がある限り争いは避けられないような気がします。
 またいろいろ書きたいと思いますので読んで感想を寄せてください。
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