この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「母と娘(こ)」-フィリピンの出稼ぎ労働を考える

2007-05-23 22:02:31 | 以前見た映画
 今上映中の映画「バベル」の中でもメキシコ人の母親がアメリカに家政婦として出稼ぎに行き、事件に巻き込まれる様子が描かれている。こちらの場合は、息子の結婚式に帰れなくなり、やむなく預かった家庭の子供をメキシコまで同伴させた結果、巻き込まれた事件だった。

 映画「息子」(山田洋次監督)では、冬の間何ヶ月も家庭を離れ、東北から東京に出稼ぎに出て、家族を支える父親の姿が描かれているが、フィリピンやメキシコの場合は国境線を越え、海を越えた話となる。それだけ経済的格差がグローバルな規模で展開されているということだ。

 フィリピンの場合、家政婦として海外に出稼ぎに行くことが大きな産業になっている。その中でも中国-特に香港に行く割合が多く、香港の統計によると、外国人家政婦が約24万人にいて、そのうちフィリピン人が15万人強ということらしい。インドネシア人も7万人で、さして産業のない国が、労働力だけを直接外国に売らざるを得ない事情がある。

  『フィリピンの海外労働者事情』-のサイト


 こうした、海を越えた労働派遣-しかも本来、家庭の中心にいるべき母親が何年もの長きにわたり家庭を離れざるを得ない-というところにこの映画の描いている葛藤がある。


 日本でもごく最近、フィリピンからの看護師・介護士を受け入れる条件を整えているが、それもおそらく《単身赴任》というカタチで行われるだろうから、同じような問題をはらむに違いない。

 同時に、日本国内の労働事情という別の角度からの問題も迫っており、他人事ではない。単純に外国人労働者、お断りでは済まされない複雑な問題が横たわっている。


  『フィリピンと日本との間の看護師・介護士受け入れ』-に関しての記事



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