令和5年5月19日(金)
病 葉 : わくらば

青葉の季節に、病害虫や風通しの悪さなどから赤や黄色に変
色して朽ち落ちる木の葉。

病気に侵された葉、色づきすがれた葉をいう。


夏、万緑の中で蝕まれて黄色に色づいたり、赤く色づいたり
して落下する葉は健全な葉に比べ、確かに病に取り付かれて
しまった葉なのだろう。


天文11年(1542年)の連歌書「宗養書とめ」の中に見
られる発句に、
わくら葉をさそひて落ちぬ秋の月
とあるがこの句は例外的な作であり、江戸時代に夏の季語と
して定着した。(俳書には「わくらは」という訓みがある)
夏の青々とした葉の中に虫食い等で変色した葉を夏の季語
とした。

病葉と書いて「わくらば」と読むのかはよく判らない。
病葉の「病」を「わくら」とは読まないが、「葉」の字は
「ば」と読む。 二文字合わせて「わくらば」と読む。
1961年に「川は流れる」という仲宗根美樹の歌が大ヒッ
トした。当初、或る歌のB面で発表されたが「歌声喫茶」で
この歌が評判となり、A面として、発売し100万枚の大ヒ
ットを飛ばした。
翌年(1962年)に松竹で同名の映画化がされた。
この映画でも主演の桑野みゆきと、仲宗根美樹が出演した。

川は流れる 1961年作品

作 詞 : 横井 弘、 作 曲 : 桜田 誠一
1)病葉を 今日も浮かべて
街の谷 川は流れる
ささやかな 望み破れて
哀しみに 染まる瞳に
黄昏の 水のまぶしさ
2)思い出の 橋のたもとで
錆びついた 夢のかずかず
ある人が 心つめたい
ある人は 好きで別れる
吹き抜ける 風に泣いてる
当時、歌声喫茶でよく歌われていたが、「病葉」の意味
もわからず、東京に出て他人同士が、やるせない歌詞に
浸り(酔いしれ)歌っていたような気がする、、、、
今日の1句(俳人の名句)
よく見ればどこか病葉なりしかな 稲畑 汀子