そういえば俺が子どもの頃は時代劇の面白いのがたくさんあったような気がする。
1)天下御免(NHK)
小学6年生の頃、俺らの仲間はみんな見ていた。金曜夜8時の楽しみだった。
小学校卒業直前にこの時代劇のオープニングテーマ曲を仲間内で演奏し、先生方に披露した。
しかし、バラバラの演奏で大恥をかいた記憶がある。
平賀源内(山口崇)、小野右京之介(林隆三)、稲葉小僧(津坂匡章)が自由奔放に生きる姿に憧れた。こいつらの破天荒ぶりはすごい。
現代社会に通じる公害問題やゴミ問題を取り上げ、当時の東京都知事であった美濃部さんまで登場させた。時代劇の形を借りた現代の風刺劇であったかもしれない。
DVDは手に入らないが、オープニングテーマとエンディングテーマの「船出の歌」のCDを手に入れた。オープニング曲は、当時もテレビの前に座って胸を高鳴らせていたが、今聞いてもワクワクしてくる。
2)快刀乱麻(TBS)
これも抜群に面白かった。何で今こういう時代劇を作らないんだろ?
時代推理劇とも言おうか。事件が発生すると、まず元薩摩藩士の花逎家因果(植木等)が推理をするが外れる。次に勝海舟(池部良)が泉山虎之介(花紀京)の話を元に推理をするが外れる。最後に結城新十郎(若林豪)が難事件を解決する。この結城新十郎、「用がないときは寝るに限る」とか言って、いつも眠ってばかりいるのだが、事件を解決するときはまさに快刀乱麻。
最後に勝海舟は泉山虎之介に対し、「おめえは一言もそんなこと言わなかったじゃねぇか」って事件の鍵を言わなかったことに対して怒るのだがそれがまた面白い。
毎回このパターンなのだが、それが分かっていてもいいんだな。
ナレーション(佐藤慶)が入ると笛が鳴り、登場人物が動きを止め、じっとする。
フィルムを止めている訳ではなく、登場人物が一斉に動きを止めるのだ。
再び笛が鳴ると続きの動作に入る。しかし動きを止めている間、出演者が微妙に動いているのが分かり、これだけでも面白すぎた。
このオープニングは内田喜郎が歌う「少女ひとり」。時代劇には全く合わない曲だが、これがまた素晴らしくいい!昔のテレビ番組のオープニング曲の人気投票をすると必ず上位に入る。
俺はこの曲を手に入れるために「ちょんまげ天国inDEEP」というへんてこりんなCDを買った。
3)無用ノ介(日本テレビ)
さいとう・たかをの少年マガジンに連載された漫画が原作。
当時新人だった主演の伊吹吾郎は少年マガジンの表紙を飾った。
当時は孤独がかっこ良くて、仲間とつるんでいるやつはかっこ悪かった。
俺は土曜の夜、大好きなプロ野球のナイターを差し置いて無用ノ介を観たもんだ。
無用ノ介は悪いやつの賞金首を狙う賞金稼ぎなのだが、自分の首にも賞金がかけられており、いろんなやつから狙われている。
「無用の子に生まれた用なし犬、この世に無用の悪を斬る。流れ流れの無用ノ介、どうってこたぁねぇんだ。どうってこたぁ・・・・いや!違う!!」
ってオープニングは子供心にも震えたね。
結局、自分には何の得も無いのに人を助けるんだ、この人は。それがまたかっこ良かった。
エンディングの曲は美空ひばりの「無用ノ介」。これがまた泣かせる。水たまりの水を飲むのにはびっくりしたけどね。
当然DVDを揃えた。
4)木枯らし紋次郎(フジテレビ)
これを外すわけにはいかない。無用ノ介が終わった後、土曜の夜の楽しみだった。
ストップモーションがかっこ良かった。
チャンバラが滅茶苦茶で、従来の時代劇の主役がかっこ良く悪者を退治するのとは正反対に、転びながら、グチャグチャになりながら敵を斬る。正統派の時代劇ファンには受け入れられなかったが、その泥臭さが俺は好きだった。
これも無用ノ介と同じで、他人との関わりを一切避け、自分ひとりで生きて行く姿に憧れた。
旅の途中に事件に出くわすと、「あっしには関わりのねぇこって」と言って知らんぷりをするのだが、結局は人を助ける。
これもDVDを全部購入。
オープニング曲は有名な上条恒彦の「だれかが風の中で」。
これを聞くとニヒルになるんだよ、今でも。木枯らし紋次郎のようになりたいんだな。
尊敬する人は木枯らし紋次郎かもしれない。こういう強さが自分にも欲しいと思う。