山口小夜子さん、黒髪のおかっぱに切長の目。
言うまでもなくトップモデルです。最近は綺麗なモデルさんが多いですが、山口さんのような存在感のある方はいないような気がします。
もっとも私は資生堂のテレビCMやポスターと、スティーリー・ダンのアルバムジャケットぐらいしか知りませんが。
その印象は冷たい、暗いイメージでした。
2007年8月14日に急性肺炎で亡くなられました。57歳でした。
「氷の花火 山口小夜子」は山口さんの遺品の整理から始まり、彼女と親交があった人の証言を集めたドキュメンタリーです。
関係者によると実は目はまん丸で、ミック・ジャガーさんと宇崎竜童さんが好きという意外な一面も紹介されていました。
パリコレの楽屋では他のモデルがタバコを吸い酒を飲んでいるのに、一人で片隅で本を読んでいたそうです(私の好きな安部公房の本も何冊か読んでいたみたいです)。
そして冷たい印象とは裏腹に、表現欲が旺盛で、モデルにとどまらず舞台、映画、ダンス、DJなど色々なものに挑戦していました。
「氷の花火」と言うタイトルは秀逸だと思います。
最後はモデルの松島花さんが山口小夜子さんのメイクを施し、山口さんがのり移ったような雰囲気の中、撮影会を行います。
松島花さんのファンになってしまいそうです。
ドキュメンタリーって作る側の思想が見え隠れするものが多いですが、この映画は山口さんへの深い愛情だけで成り立っています。
「Kuramoto」の3月のラインナップの中では最も興味がなかった映画でしたが、観て良かった、素晴らしい映画でした。