ごくらくちんみ (新潮文庫) | |
杉浦日向子 | |
新潮社 |
粋な粋な短編集だ。
珍味を題材にしているが人間模様をさりげなく綴っている。
出てくる珍味は「たたみいわし」、「ふきみそ」、「ふぐこ糠漬け」、「にがうるか」など、酒好きにはたまらないものばかり。
「青ムロくさや」では
「くさやには島焼酎じゃないか。(中略)ロックかストレートでね。割っちゃダメだよ、もったいない」
飴色の木屑のような一片を、指でつまんで口へほうりこむ。複雑な旨味が、舌の付け根と上顎から鼻腔、喉をやんわり圧しひろげつつ、温かい風の優しさでわたっていく。強烈な臭気とはうらはらに、まことに品の良い、繊細な味覚である。
とある。
こんな文章を読んだらそりゃ食べたくなるし飲みたくなるわな。
そういうわけで、今宵はくさやをゆっくり噛んで、焼酎を舐めるように飲む。
この瓶詰めのくさやはマイルド。
島焼酎は青ヶ島のものを。
それだけだと腹が満たされないので、ソーメンタシヤーも。
私は、具はネギだけ。
これがまた焼酎に合うのだ。
そんなわけで、弱っていた胃袋はすっかり回復しました。
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