僕と猫のブルーズ

好きな音楽、猫話(笑)、他日々感じた徒然を綴ってます。
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七尾旅人

2011年07月03日 | 七尾旅人
昨日ソングライターズに七尾旅人クンが出演。興味深く見た。
いつもと違って作詞ノウハウの説明は一切無し。
むしろ音楽を取り囲む環境についての話が多かった。
メジャー音楽システムの崩壊、ネットを利用した音楽の伝え方、音楽の存在意義。
七尾クンの「音楽に対する信頼」が垣間見えて爽快だった。

七尾クンは今年フィッシュマンズ各種イベントにゲストボーカルで参加していて
その声には触れていた。
何処となくハナレグミや原田郁子を思わせる優しい歌声に興味を持った。

今回、ソングライターズに七尾クン出演ということで良い機会なので音源を聴いてみた。
2010年に出た最新アルバム「Villion Voices」。
そして2007年に出た3枚組「911FANTASIA」。NY9.11をモチーフにした作品。

どっちのアルバムも聴いててぶっ飛んだ。
ともかく歌い方が凄い。語りからいきなり歌声になり叫び・雄たけびになる。
ラップともポエトリーリーディングとも違う独特の歌い方。saigenjiが近いかも。

で歌詞の内容も結構どぎつい。毒にあふれてる。
ふわふわした長閑な世界を歌う人かと思ったので、イイ意味で裏切られた。
「ロックンローラー目指して会社に辞表を叩きつけて女装して帰宅するサラリーマン」
の歌とか、ひたすら「パンクジャズ」と絶叫する歌とか。寡って聴いた事がないオンガク。
ボクが今まで聴いて知ってたオンガクの概念を引っくり返すようなウタ。

「911FANTASIA」はお爺ちゃんと子供の語りが延々続きその間に楽曲が挟みこまれる。
しかも中東に対するアメリカの攻撃、日本政府のアメリカへの追従を真正面から批判。
さらには阪神大震災、神戸少年殺人事件、オウム、90年代に起きた色んな事件、
そこを通過した若者の醒めた絶望を淡々と歌っている。
3枚目に収録された「airplain」。このアルバムのクライマックスとも謂ってよい曲。
この飛行機の意味・・・それを考えたときゾッとした。

9.11にここまで真正面に取組んだミュージシャンは初めて見た。
絶望の後の人のつながりの大切さを訴えたミュージシャンは何人かいる。
でも「事件そのもの」に真正面に向かい合った歌は初めて聴いた。
これはポップミュージックで取上げるべきテーマか?は疑問。
でも出来上がった作品のあまりの凄さにただただ黙り込むしかない。

「911FANTASIA」は作品全体が重く暗く禍々しく絶望に満ちている。
一方で「Villion Voices」は自由で解放されている。
同じミュージシャンが創ったとは思えない。このぶっ飛び具合はなんだ?

ホント天才っているもんだな。そう思った。
今まで色んなミュージシャンを聴いてきた。でも何れも理解できる範囲だった。
このヒトはそういうところから外れている。超えている。
聴いた・見た印象は「危ない、コワイ、不気味」。
でも、それでイイ。だからこそ、オモシロい。魅力ある。
そんな簡単に分かるアーティストなんてツマンナイ。

そして、決してメジャーではないこういったミュージシャンがNHKの番組で
取上げられること。その創作の秘密が語られるということ。
これはホントに素晴らしいと思う。ソングライターズ次回も楽しみ♪

何度もいうが世の中に天才っているんだ。
こういった天才に出逢えたことがホントにウレシイ。
過去作品もいろいろ聴いてみよう。そしてそのうちライブも行ってみよう。

ちなみに七尾クンの公式HPで音源・映像が色々聴けます。
http://tavito.net/
ボクは「PUNK JAZZ」がおススメ☆こいつ・・ホントに只者じゃない☆
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