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しらせ南極観測船(JMSDF AGB SHIRASE (Second) class) /海上自衛隊 (2)

2012-10-03 04:18:46 | 艦艇(自衛隊・保安庁・その他)

南極観測船の搭載ヘリは「タロとジロの悲劇」以来出来るだけ高性能なものを配備しており、しらせでは大型機のCH-101を2機、小型機のAS355を1機の計3機搭載。

AS355は中日本航空に運用が委託されています。

 

推進方式は先代しらせ同様にディーゼル・エレクトリック方式を採用した。出力は先代と同じ30,000馬力だがパワーエレクトロニクス技術の進展により電動機はPWMインバータで交流電動機を駆動する方式(統合電気推進方式)となった。艤装を勤めた初代航海長は「統合電気推進と言える」とコメントしている。

貨物積降時間の短縮を可能としたコンテナ方式の荷役システム、砕氷力の向上と船体塗装剥離による海洋汚染の防止を目的とした喫水付近のステンレス外装、新型ヒーリング(横揺れ防止)装置といった新機能も導入された。

艦内設備は南極の環境保全のために廃棄物処理用システムが充実されており、南極観測基地からの廃棄物持ち帰りもおこなわれている。

発電用ディーゼルは大気汚染防止に配慮した機種で、煙突は1本から並列2本となり、推進軸は3軸から2軸、舵は1舵から2舵となっています。

 

舵の形式は、先代「しらせ」の非釣合舵(不平行舵、Unbalanced Rudder)に対し半釣合舵(半平行舵、Semi-Balanced Rudder)を採用しています。

 

予算の問題によりしらせの退役と本艦の就役までの間に1年の間隔が空いた。そのため2008年(平成20年)の50次観測隊では文部科学省がオーストラリアから民間砕氷船「オーロラ・オーストラリス」をチャーターし利用した。この砕氷船は先代「しらせ」によってビセット時に救助されたことがある。

 

先代しらせは20年以上運用され、その老朽化に伴い後継艦が必要とされるようになった。2002年(平成14年)に文部科学省が予算請求を行ったが折衝により計上されなかった。2003年(平成15年)にも財務省原案に盛り込まれなかったが 復活折衝によって艦体設計予算(5億円)と搭載ヘリコプター製造費初年度分(26億円)の予算計上が認められ、2007年(平成19年)にユニバーサル造船舞鶴事業所で起工し、2008年(平成20年)4月16日に進水式が挙行された。

 

進水後に最終艤装および試運転等を経て、2009年(平成21年)5月20日にユニバーサル造船舞鶴事業所において竣工式並びに艦旗授与式がおこなわれた。母港は横須賀港となっている。

 

初任務となる第51次南極観測隊活動支援では、2009年11月10日に東京晴海埠頭を出港し翌2010年4月9日に帰還した。

 

2011年3月11日に発生した東日本大震災の支援に南極観測から帰還途上の本船の輸送力の使用を検討された。シドニーでの積み卸しを2日に短縮するなどで当初予定より約1週間早い4月5日に横須賀に帰港したが、同船の喫水の深さや東北主要港湾の水中障害物撤去が未了であったことなどから投入は見送られた。

 

2011年11月11日に出港した第53次南極観測隊任務は悪天候により海氷が例年以上に厚く、2012年1月23日に文部科学省の報道発表により昭和基地の西北西約21キロメートルの地点で南極観測船の昭和基地沖への接岸断念を発表した。その後同基地への主に空輸による物資輸送を終えた。

 

2012年2月13日、昭和基地への補給を終え日本へ帰投中に、ラミング砕氷で後進を行っていた際に定着氷の中で障害物に接触、左右2枚ある舵のうち右側の舵を損傷した。応急処置不可能との報告から、防衛省は「輸送艦おおすみ」と「補給艦ましゅう」の2隻を緊急派遣し、同船との間をヘリコプターでピストン輸送し、同船船内に最低人員を残し船内越冬も計画していたが、3月4日に自力で氷海を脱し、同月17日にはオーストラリアのフリーマントル港に入港した。近年、昭和基地周辺では海氷の厚い状態が続き、氷厚6メートルを超える場所もある異常事態であり、豪州南極観測船「オーロラ・オーストラリス」が豪州のモーソン南極基地への接近が困難になっているため、砕氷能力が高い同船が航路開拓する予定だったが中止されている。その後もしらせは片舵のまま航行を続け、4月9日に東京晴海埠頭へ帰還した。東京入港時には、しらせは修理に入り、例年通りなら11月から行われる南極への航海に備える予定であると報じられた。

 

発注    2005年

起工    2007年3月15日

進水    2008年4月16日

就役    2009年5月20日

従事隊次        第51次(2009年)~

性能諸元

排水量  基準 約12,500t

全長    138m、水線間長 126m

全幅    28m

吃水    9.2m

機関    ディーゼル 4基・主電動機 4基

ディーゼルエレクトリック(PWMインバータ方式)、

2軸推進、30,000PS

最大速度        19.5ノット

砕氷能力        厚さ1.5mの氷の中を3ノットで航行可能

乗員    179名

隊員    80名

海賊対処用装備  64式小銃/9mm拳銃

輸送物資        約1,100t

艦載機  CH-101×2機、AS355級×1機


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