11月5日は「雑誌広告の日」
日本雑誌広告協会が1970(昭和45)年に制定。
「読書週間」「教育文化週間」のある時期ということで、この日を記念日とした。消費者の保護と雑誌広告の信頼を高めることを目的としている。
ビデオリサーチがおこなった雑誌広告調査(996素材:2003年4月現在)によると、雑誌を読んだ人のうち、ある広告を「詳しく読んだ+確かに見た+見たような気がする」人の割合は平均66.9%。つまり、雑誌広告は読者のおよそ67%に到達していることになる。
新聞広告でも、雑誌広告でも紙面による広告の場合は、紙面が大きいほど人の目につく。しかし、広告費も嵩む。だから、その時代の力の有る企業、その時代の成長産業が広告を出しており、それらの広告には、その時代を反映した画像やコピー(広告コピー)が使われており、面白い広告が多い。しかし、広告などというものは文化的価値という観点からは、小説や評論と比較されると、一般的には低俗に見なされがちではあるが、その社会や時代の流れを最も映し出しているという点では、一級の文化価値を持っていると思う。最近では、若者文化花開いた1967年頃のレナウンの「イエイエ」、高度成長期1969年頃の丸善石油の「オー、モーレツ」価値観が多様化し始めた1980年頃の富士カラーの「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」、このコマーシャルで「それなりに」が流行語になりましたよね~。環境間題を意識し始めた1997年から無印良品の「名前はいらない」、年代は覚えていないが、西武百貨店の「おいしい生活」などその漠としたコピーとウディ・アレンで話題になり、コピーの糸井重里は既に著名ではあったが、このコピーで ぐっと名を上げたのではないか。このように、広告からは非常にその時代の雰囲気を読みとることが出来る。私は、趣味で、古雑誌なども少し、収集しているが、雑誌の表紙や裏表紙が面白くって買ったものがある。これらは、先にも述べたように、小さなサイズのものより大きなサイズのもののほうがコピーだけでなく大きな画像が掲載されているので見て楽しめる。その中の一部大正時代の「サンデー毎日」「朝日グラフ」の広告を紹介してみよう。この当時の雑誌は、A3サイズ位の大きな紙面である。
1、「支那事変国債」
そしてサブに・・・前線の将兵に弾丸を!糧食を!防寒具を!・・とある。
画像は無人の荒野に鍬が1本立てられ、その先に、日の丸のついた軍帽が一つ・・これは、大正11年2月25日号、郵便局売出し大蔵省の広告である。
2、「国策線を進むラヂオ!シャープ受信機」
画像は、上に飛行機が一機、下にラジオの絵と説明文が書かれており、説明文には、「国策1号型・国策に順応して鉄及び銅は殆どしようせず最新研究の高級配線方式を以って製作されたものでありますから、音量音質分離共に従来のものに比して優るとも劣らぬ絶対優秀品であります。これこそ非常時局のラヂオとして安心して御備え願えます」とある。大正11年2月12日号早川金属工業株式会社のものである。広告が「あります」口調で書かれている。
3、「国産ナショナル電球」
この広告には、女性が電球を一つ手に持って眺めている写真が載っており、噴出しの形で「ドイツが今日の戦火を収める反面にはドイツ婦人の大きな力を見逃してはならぬ。例えば家庭の節電も非常に合理的で寝室、廊下等の電燈は用が済めば直ちに消し、子供部屋とか其他必要な部屋はどしどし明るく点け電力を有効に活用してゐる!」と書かれている。大正11年7月14日号、ナショナル電球株式会社のものである。なんか教唆的でしょう!
この1~3などは、「サンデー毎日」のもので非常に戦時色豊かな広告である。
暗くなるので、明るい広告も少し・・・
4、「お巡(まわ)りさんごくろうさま」
吹雪の朝も、風邪の夕べも十字路に立ちつくすこのスーパーマンは一瞬の注意も怠らず 背筋の血は蒼く凍える・・・ありがとう 私は運転手。
こう書かれた広告の画像は、上の方に雪の降る中交通整理をしている擬人化したお巡りさんの絵。下にはあの懐かしい三輪車ダットサンの写真。大正12年2月1日号朝日グラフのダイハツ工業株式会社の広告。三輪車のトラックは戦後まであったよね~。私の家でも仕事に使ってたよ。
5、「胃腸・栄養、錠剤・わかもと」
大正11年7月7日号のサンデー毎日のわかもと本舗の広告である。この広告には、浴衣を着た女の子が縁台におかれた蚊遣(かや)りの豚を眺めている可愛い絵が描かれており、上に詩のような形式でこう書かれている。
「煙出しぶたさん
豚さん豚さん、蚊遣りの豚さん、大きなお口の中からのぞきゃ、ゆらゆらゆら煙だし豚さん、からっぽお腹でひもじくないの、お口もお鼻も一所のぶたさん、錠剤わかもとお鼻に入れりゃ、ころんころんとお腹に落ちる、おかしな豚さんがらん洞ぶたさん」
そして、端の方に小さな枠で、薬の効能を「常備薬・錠剤わかもとは生物界最大の濃度を有(も)つビタミン複合体と各種栄養素、酵素の集積で、虚弱細胞に賦活(ふくわつ)し、衰弱機能を強化し、夏やせ、食傷(しょくあたり)を防ぎ、結核、慢性胃腸病の病原を除去します」と書かれている。
夏縁台に蚊遣りを置き浴衣を着ての夕涼みなど昭和の戦後の間なし位まではみられた懐かしい光景である。このわかもとの広告は好きで、沢山広告をもっている。ただ、効能に結核の病原を除去などと書いてあるが本当に除去出来るのだろうか?明治のころより、新聞雑誌の広告には、薬品広告が多かったが、福沢諭吉が誇大広告が多いのを非難したことがあるほど、明治の時代には誇大広告の多かった業界。明治末より、かなり改善されたとはいえ、多少は名残が残っているんだろうな~。
上の写真は「胃腸・栄養、錠剤・わかもと」。大正11年7月7日号のサンデー毎日のわかもと本舗の広告である。
参考:
雑誌広告協会
http://www.zakko.or.jp/jpn/index.html
電通古今東西広告館:アイデア賞
http://www.dentsu.co.jp/MUSEUM/edo/koukoku/idea/idea.html
広告賞受賞作品一覧
http://www.ad-c.or.jp/data/winlist.html
日本雑誌広告協会が1970(昭和45)年に制定。
「読書週間」「教育文化週間」のある時期ということで、この日を記念日とした。消費者の保護と雑誌広告の信頼を高めることを目的としている。
ビデオリサーチがおこなった雑誌広告調査(996素材:2003年4月現在)によると、雑誌を読んだ人のうち、ある広告を「詳しく読んだ+確かに見た+見たような気がする」人の割合は平均66.9%。つまり、雑誌広告は読者のおよそ67%に到達していることになる。
新聞広告でも、雑誌広告でも紙面による広告の場合は、紙面が大きいほど人の目につく。しかし、広告費も嵩む。だから、その時代の力の有る企業、その時代の成長産業が広告を出しており、それらの広告には、その時代を反映した画像やコピー(広告コピー)が使われており、面白い広告が多い。しかし、広告などというものは文化的価値という観点からは、小説や評論と比較されると、一般的には低俗に見なされがちではあるが、その社会や時代の流れを最も映し出しているという点では、一級の文化価値を持っていると思う。最近では、若者文化花開いた1967年頃のレナウンの「イエイエ」、高度成長期1969年頃の丸善石油の「オー、モーレツ」価値観が多様化し始めた1980年頃の富士カラーの「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」、このコマーシャルで「それなりに」が流行語になりましたよね~。環境間題を意識し始めた1997年から無印良品の「名前はいらない」、年代は覚えていないが、西武百貨店の「おいしい生活」などその漠としたコピーとウディ・アレンで話題になり、コピーの糸井重里は既に著名ではあったが、このコピーで ぐっと名を上げたのではないか。このように、広告からは非常にその時代の雰囲気を読みとることが出来る。私は、趣味で、古雑誌なども少し、収集しているが、雑誌の表紙や裏表紙が面白くって買ったものがある。これらは、先にも述べたように、小さなサイズのものより大きなサイズのもののほうがコピーだけでなく大きな画像が掲載されているので見て楽しめる。その中の一部大正時代の「サンデー毎日」「朝日グラフ」の広告を紹介してみよう。この当時の雑誌は、A3サイズ位の大きな紙面である。
1、「支那事変国債」
そしてサブに・・・前線の将兵に弾丸を!糧食を!防寒具を!・・とある。
画像は無人の荒野に鍬が1本立てられ、その先に、日の丸のついた軍帽が一つ・・これは、大正11年2月25日号、郵便局売出し大蔵省の広告である。
2、「国策線を進むラヂオ!シャープ受信機」
画像は、上に飛行機が一機、下にラジオの絵と説明文が書かれており、説明文には、「国策1号型・国策に順応して鉄及び銅は殆どしようせず最新研究の高級配線方式を以って製作されたものでありますから、音量音質分離共に従来のものに比して優るとも劣らぬ絶対優秀品であります。これこそ非常時局のラヂオとして安心して御備え願えます」とある。大正11年2月12日号早川金属工業株式会社のものである。広告が「あります」口調で書かれている。
3、「国産ナショナル電球」
この広告には、女性が電球を一つ手に持って眺めている写真が載っており、噴出しの形で「ドイツが今日の戦火を収める反面にはドイツ婦人の大きな力を見逃してはならぬ。例えば家庭の節電も非常に合理的で寝室、廊下等の電燈は用が済めば直ちに消し、子供部屋とか其他必要な部屋はどしどし明るく点け電力を有効に活用してゐる!」と書かれている。大正11年7月14日号、ナショナル電球株式会社のものである。なんか教唆的でしょう!
この1~3などは、「サンデー毎日」のもので非常に戦時色豊かな広告である。
暗くなるので、明るい広告も少し・・・
4、「お巡(まわ)りさんごくろうさま」
吹雪の朝も、風邪の夕べも十字路に立ちつくすこのスーパーマンは一瞬の注意も怠らず 背筋の血は蒼く凍える・・・ありがとう 私は運転手。
こう書かれた広告の画像は、上の方に雪の降る中交通整理をしている擬人化したお巡りさんの絵。下にはあの懐かしい三輪車ダットサンの写真。大正12年2月1日号朝日グラフのダイハツ工業株式会社の広告。三輪車のトラックは戦後まであったよね~。私の家でも仕事に使ってたよ。
5、「胃腸・栄養、錠剤・わかもと」
大正11年7月7日号のサンデー毎日のわかもと本舗の広告である。この広告には、浴衣を着た女の子が縁台におかれた蚊遣(かや)りの豚を眺めている可愛い絵が描かれており、上に詩のような形式でこう書かれている。
「煙出しぶたさん
豚さん豚さん、蚊遣りの豚さん、大きなお口の中からのぞきゃ、ゆらゆらゆら煙だし豚さん、からっぽお腹でひもじくないの、お口もお鼻も一所のぶたさん、錠剤わかもとお鼻に入れりゃ、ころんころんとお腹に落ちる、おかしな豚さんがらん洞ぶたさん」
そして、端の方に小さな枠で、薬の効能を「常備薬・錠剤わかもとは生物界最大の濃度を有(も)つビタミン複合体と各種栄養素、酵素の集積で、虚弱細胞に賦活(ふくわつ)し、衰弱機能を強化し、夏やせ、食傷(しょくあたり)を防ぎ、結核、慢性胃腸病の病原を除去します」と書かれている。
夏縁台に蚊遣りを置き浴衣を着ての夕涼みなど昭和の戦後の間なし位まではみられた懐かしい光景である。このわかもとの広告は好きで、沢山広告をもっている。ただ、効能に結核の病原を除去などと書いてあるが本当に除去出来るのだろうか?明治のころより、新聞雑誌の広告には、薬品広告が多かったが、福沢諭吉が誇大広告が多いのを非難したことがあるほど、明治の時代には誇大広告の多かった業界。明治末より、かなり改善されたとはいえ、多少は名残が残っているんだろうな~。
上の写真は「胃腸・栄養、錠剤・わかもと」。大正11年7月7日号のサンデー毎日のわかもと本舗の広告である。
参考:
雑誌広告協会
http://www.zakko.or.jp/jpn/index.html
電通古今東西広告館:アイデア賞
http://www.dentsu.co.jp/MUSEUM/edo/koukoku/idea/idea.html
広告賞受賞作品一覧
http://www.ad-c.or.jp/data/winlist.html