北原白秋「空に真赤な」全文
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空に真赤な
空に真赤な雲の色。
玻璃(はり)に真赤な酒の色。
なんでこの身が悲しかろ。
空に真赤な雲のいろ。
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北原白秋の詩集「邪宗門」所収の詩。
西原大輔「日本名詩選1」(笠間書院・2015刊)には、次のような解説があります。
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「真赤な酒」からはハイカラで都会的西洋的な雰囲気が生み出され、耽美的陶酔が濃厚に表れている。
一方で、赤い「玻璃」から視線を転じた先にある「この身」は、補色の青に染まったと想像され、
対比効果によって、救いようのない憂鬱が生じている。
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「いろ」「色」の書き分けも
書にしようとするときは、変化があっていいですね。
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背景の写真は、先日、我が家から撮った夕焼け。