72年前の今日の良き日午前9時20分教育総監からの陸士合格の官報リム電を受けた。欣喜雀躍、小躍りして感喜した。その場で父兄の喜びようは、言葉と態度から尋常ではなかったようである。多くの陸士・海兵の志望者から選抜されての合格電報、早速不中の教員室へ飛び込んで、多くの先生方に囲まれ電報を代わる代わる見て取って祝福を受けた。山上教頭先生から、入校したらお会いした際にはよろしくと、3人の教官の氏名を電報の裏面に書いて頂き、伝言する様依頼された次第。この年この日、何故か不中では合格者は自分一人であった。勿論吾が不動岡町では前古未曾有、初めての陸士合格であった。一族一統は言うまでもなく、次第に町ぐるみ慶祝の坩堝に包まれた次第である。省みて本当に親孝行をしたなという思いの、此の旬日であったのである。一心不乱の受験勉強の辛さを皆忘れて、周囲からの喜びを真に受け、それからは陸士将校生徒としての入校の意気込みを、強く噛み締めた何ヶ月間であった事か。今思い出しても、走馬灯の絵の如くその折の感激が、強く意識し蘇って来て輝き、生き甲斐を享受し続けて、未だに嬉しくて懐かしい。