アフガンへ派兵された、米海兵隊員のその後の話。
精神科医の中井久夫氏が訳書で早くから紹介しているように、
PTSDは前言語的なところまで影響する。そのため本人も
合理的、整合的な行動の基の部分まで不調をきたす。
そのことにより、家族などの身近な人まで傷つける、危害を加える、
またはそのようなことを自ら恐れて関係を断つことも多いようだ。
そのことからサポートを受けられなくなったり、ホームレスになったり
する人も多いのだろう。
本人が負傷しなかったとしても、戦友が負傷、死亡したりすることも
PTSDの主要な原因となるとのこと。
「帰還兵はなぜ自殺するのか」(デビッド・フィンケル著)でも書かれているように、
帰還兵のPTSD患者の数が多すぎることもあり、薬物療法がメインで、
十分な治療、サポートを受けるには程遠いようだ。
岡野憲一郎氏がブログで書いているように、20年以上前から
PTSDで働けなくなって、メディケアの対象になっても、
社会保障制度の弱さのため、財布に2,3ドルしか入っていない人は
ざらにいたとのこと。そうなると通院自体が困難になり、
治療を受けることも不可能な人は、以前から大勢いたのだろう。
米国民の尊重する、選択の自由とその結果は自ら受け入れるべきという
価値観は、すでに破綻しているのではないだろうか。