移民×緊縮財政の結果について
本書では、著者の子どもに関する事柄を軸にして、様々な現在のイギリス社会の問題が
取り上げられている。
著者の子供は、小学校は、カトリックの学校に行っていて、
そこは中流のそれなりに経済的な余裕があったりする家庭の子供が多かったが、
中学校選びの時に、カトリックの中学へ見学に行くと、そこは前列に座る子供は
熱心に授業を聞いていたが、後方の子供は、スマホを見ていたりして、
進学実績を上げるために、能力の低い子供は無視されているようだったが、
以前底辺校だったところは、ひとりの生徒も取り残さずにするために、さまざまな
工夫をしていたので、そちらに子供を入れることにしたとのことである。
前者は停滞している印象だったが、後者は活気があったことが中学校を選ぶ時の
判断基準になったとの事である。
本書では著者の子供の周囲の事から、様々な家庭の経済的な格差や困窮、
それに起因する様々な偏見、人種差別、いがみ合い、軋轢、トラブルが取り上げられている。
その多くは、移民と緊縮財政が複合して起きているとの事である。
ただでさえ難しい移民問題と、緊縮財政が複合すると、それまで以上に、
様々な問題が起きてくることが、具体的に取り上げられている一冊である。
評価の低い公立学校にアジア系やアフリカ系が行くと、いじめの標的になることを警戒して、
アジア系やアフリカ系、ミックスルーツの子供の親は評価の低い公立校を避けるので、
評価の低い公立中学ほど、白人のイギリス人がほとんどを占めているというのが、
意外であった。