マチンガのノート

読書、映画の感想など  

バック・ノール 監督 セドリック・ヒメネス 出演 ジル・ルルーシュ カリム・ルクルー フランソワ・シヴィル

2021-09-19 18:42:59 | 日記

2012年にフランスで起きた事件が基になっている映画とのことです。

【あらすじ】

マルセイユの北地区を担当する国家警察犯罪対策部隊(BAC)でチームを組むグレッグとヤス、

そしてアントワンの3人は、麻薬の売人やこそ泥などを摘発していますが、

ある時、犯人を追跡していった先の団地で麻薬を扱うギャングたちが大勢で押しかけて来たので、

仕方なく撤退することになります。

そこは警察でも入れない無法地帯でギャングが支配しているため、上司からは麻薬などの

危険な事よりも、もっと安全で楽な相手を取締り、ノルマを果たすように言われます。

ある日、アントワンは情報提供者から麻薬組織のアジトを教える代わりに、5キロの麻薬を提供するように

要求されます。上司に押収した証拠品から5キロの麻薬を提供するように提案しますが、

聞き入れられないので、自分たちで集めることにするのでした。

【感想】

アメリカ映画などですと、犯人が向かってきたり武装していたりすると直ぐに警官は発砲しますが、

こちらではギャングたちと警官で銃を向けあっていても、お互いに罵りはしますが発砲しません。

警察が移民や難民を射殺すると、何かとバッシングされるのでしょうか。

以前フランスで起きていた黄色いベスト運動から解るように、社会が上と下に分かれると、

現場で実務を担う人たちが負担を負わされそうです。

代々豊かな政治家や財界人、知識人と庶民の暮らしが別のものになると、実態に合わないことが

どんどん政治家や官僚などから庶民に押し付けられるのかもしれません。

日本のように9割が『自分は中流』と思っている国も、意外とそうなりやすいのかもしれません。

The Stronghold / BAC Nord (2021) - Trailer (English subs)


山中康裕の臨床作法 日本評論社 一部紹介 マジックサークル 身体的枠付

2021-09-19 00:37:40 | 日記

臨床心理学の作法 中川美保子(P104)より

自閉の傾向が顕著な幼児との面接において、保護者が少し目を離した隙に居なくなったので、

院生たちで探して、大声を発し続けて落ち着かないその幼児をなんとか面接室に連れていったときに、

山中先生はその幼児の背後から、相手に触れず、背後に立ちお腹の周りに手を回すと

その幼児の体が緩み、表情も柔らかくなり、その後その幼児は山中先生と遊び始めたとのこと。

院生が尋ねると山中先生は『みんなは、よく、羽交い締めした、と誤解されるんですが、

あれは私の術語で言えば、「マジックサークル」を作って、「彼を魔法の輪で囲った」のです。

いかにも自由を奪っているかの様に見えますが、私の腕と彼の体の間には、隙間があり、

触れていません。つまり、彼は、「枠」がないので、勝手に動き回っているように見えるのですが、

「枠」を作ってやると、安心して、彼の思うことができるようになるのです。

「窓」論というより、「枠」論ですね。』と答えたとのこと。

風景構成法でも枠を描くことにより、描画の際にクライアントに不安を喚起させることを少なく

できるらしいが、臨床の場でそれを身体的に応用できるところが山中先生の

凄いところだろう。

治療者などによる身体的な枠付というのは、周囲の認識が未発達な子供の臨床に

応用できそうなことだと思った。

山中康裕の臨床作法 日本評論社