2014年の1月から9月にかけて朝日新聞に連載されていた小説です。
警察の特殊部隊に入る主人公を描いた小説を朝日新聞が連載したというのは、時代の変化を感じさせます。
【あらすじ】
大学を出て警視庁に就職した柿田亮は、新人として地域課など様々な部署を巡っていくうちに、
警察の権限の使い方などについて様々な疑問を持ちます。
そのことについて上司に話すと、機動隊が向いていそうとのことでそちらに転属になります。
様々な疑問が解決しなくても、がむしゃらに訓練についてゆく彼を観て、
上司が特殊急襲部隊SAT(Special Assault Team)を勧めたため、柿田は六ヶ月間の試験入隊訓練に参加します。
そこでは自動小銃なども扱うため、自衛隊に行き訓練を受けることになるのでした。
【感想】
警察の特殊部隊や自衛隊など、テロや災害、戦争など、起きない方がいい事が起きた時に対応する職種の人たちが、
自分たちの仕事をどう考えて訓練を続けているのかを描き、主人公もその中で先輩や仲間たちと話し合ったりして、
その一員として成長していく物語です。
震災後にかなり社会の雰囲気が変わりましたが、それについて考えさせる小説です。
著者の今野敏さんは、刑事物の小説がテレビドラマ化された物も多いですが、それらとはかなり違ったものになっていました。
自衛隊や軍隊の特殊部隊と警察の特殊部隊の違いなどについて、登場人物のセリフとして様々な考えが
提示されますので、そのあたりが興味深い内容になっていました。
物語の中で事件は起きませんが、読ませる内容の小説になっています。