京大の臨床心理の人たちは『発達障害の人の境界の無さ』が、様々な感覚過敏や、
対人関係での困難さの原因としているが、境界というものの生成には、はまず自らの身体の重さの感覚や
力動感などの身体の内的感覚が在り、それが認識しやすい視覚と結びついて、自己と外部の
境界が生成していくことは、河本英夫氏の「オートポエーイシス」に関する著作で取り上げられている。
そのような自らの内部と結びついた自己の境界が、家庭の中や様々な日常生活で社会における様々な境界と
結びついていき、社会的な境界を自らに取り入れるのが、社会化の基礎だろう。
近年、発達障害の子供が増えているのは、体を動かさずにゲームで遊ぶ事が増えたことで、自らの内的感覚を
感じて遊ぶことが減り、それによって内的感覚と視覚を結びつけて自己と外部の境界を生成してゆくことが
減ったことで、社会における様々な境界を身につけてゆくことが減っていることが、大きな原因と考えられる。
定型発達の人は身体に結びついた境界の中で暮らすことで、外からの不要な刺激を感じにくくしていて、
不必要な感覚に影響されにくくなっているのだろう。
そこから考えるに、発達障害の療育には、他者も含んだ動きの中で展開するプレイセラピーや、
様々な言語以前の未分化な部分を扱う表現を使った関わりが有効なのだろう。
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