幾つもの賞を受賞した「ジャパンタウン」のバリー・ランセットさんの小説で、前作に続き美術商で
探偵のジム・ブローディが主人公で、本作では主な舞台は東京です。
【あらすじ】
元米軍のMPだった父親から遺された探偵社を東京で経営しているブローディのもとに、
元日本陸軍将校だった三浦晃が会社員である息子の耀司とともに訪ねてきます。
三浦晃は中国に駐留していたときの仲間が二人続けて殺されたことから、中国がらみのことだろうとの事で、
自分の警護をブローディ達に依頼します。
その傍らブローディは昔の禅僧の書いた絵について調べていますが、その2つのことが、中国で日本軍に略奪された
財宝のことと繋がっているらしいことが解って来るのでした。
【感想】
前作では忍者が出てきたりと、昔の米国映画でありがちな欧米人がイメージする日本が描かれていましたが、
本作ではそのような要素はありませんでした。
今でも欧米と比べて封建的な日本社会を解りやすく描いていて、さらに日中戦争でのことを取り入れています。
日本や中国の歴史や、華僑の事を色々調べて書かれた小説です。
400ページ以上ありますが、テンポが良く展開も早いので、読みやすい小説になっていました。
著者がこれから書くものに期待できる内容でした。