著者の東畑氏は京大の大学院で臨床心理学を学んだが、就職した沖縄の診療所のデイケアでは、
大学で学んだような定期的に会い続けてカウンセリングをするというようなことはあまりなく、
デイケアでする事や関わり方を周囲から学び、それがどの様な影響を利用者さんに与えているのかを、
見てきたことがその後に繋がったのだろう。
本書の冒頭で出てくる「クマのような看護師」というのも多分そこの人で、日常関わりながらいかに接していくのが
いいのかの見本になったのだろう。
診療所にしても保健所にしても児童福祉施設にしても、定期的にカウンセリングをするなどより、
それ以外のことで関わることの方が大きな割合を占めていて、影響も大きそうである。
大学の相談室に来る人は、それなりに時間やお金に余裕のある人が多いが、それ以外のところでは
そうではない人が多いというのは、意外と教員などでも知らない人が多いのかもしれない。
そのようなことを考えると、本書は良い案内書になりそうである。