マチンガのノート

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「同志少女よ、敵を撃て」(逢坂冬馬著)における思考の欠如

2023-10-31 00:25:16 | 日記

何かと話題になり売れた本書ですが、敵国の兵士の扱い方にいちいち疑問を持つというのは、

ソ連国内で自国民であっても「反革命的」とされた人物は、拷問し無理やり調書に署名させ、

万単位で処刑していた時代に不自然とは、著者は考えなかったのでしょうか。

自国民でもその様に扱った時代に、自国を侵略し、一般市民も大量に虐殺した敵国の兵士に、

復讐心を持つ人は多くいても、人道的に扱うべきと考える人は、極めて少なかったでしょう。

『騎士道精神』を引き合いに出す人がいそうですが、そのようなものは中世に騎士や傭兵などが

戦争をしていたという時代のもので、第二次大戦とはほとんど関係がないものです。

国民国家が成立し、一般市民を徴兵した国民軍ができたからこそ、その後の大規模な戦争が

可能になったという歴史の流れを考えに入れない人は、そのあたりが曖昧になりそうです。

ジュネーブ条約やハーグ陸戦条約の方が影響を与えていたでしょうが、独ソ両軍とも、

それほど尊重していなかったようです。

後世に書かれた多くの資料を基に書かれた本書ですが、資料を参考にする際に、

何も考えずに使っているようでした。

 

 

大粛清 - Wikipedia