東畑氏が本書を書いた動機としては、大学で臨床心理を学んで、様々な心理療法や継続的なカウンセリングの
仕方などを学んでも、実際に大学の外に就職した東畑氏や周りの心理士にとっては、それよりまず先に、
様々な支援機関や日常をサポートをするところとの連携のほうが、はるかに重要で、
それ無しには治療どころではないことを知ったからなのだろう。
東畑氏は昨年、最近まで信田さよ子氏を知っていたが、知らなかったと書いていたことから解るように、
世の中には様々な理由でカウンセリングや心理療法どころではない人のほうが、はるかに多いことを、就職してから
知っていったのだろう。
劣悪な生育歴だったり、家族から害を加えられ続けていたり、経済的な問題からブラック企業を
辞められなかったり、経済的困窮から治療を受けられなかったりするなどの人が、
世の中に沢山いることを知ったことが、本書が書かれた大きな動機なのだろう。