マチンガのノート

読書、映画の感想など  

「ザ・ヤクザ 」監督:シドニー・ポラック 出演:ロバート・ミッチャム、高倉健

2016-11-14 01:20:09 | 日記
主人公のロバート・ミッチャムが、日本を占領していた頃から付き合いで、
金を借りたりしたことも有る友人の実業家が、日本のヤクザとの銃の密売を巡る
トラブルで娘が相手に人質にされていることで、その娘を取り戻す為に、
日本に居たときに同棲していた娘を持つ日本人女性の「兄」に助力を求め、
その協力で取り戻すのだが、その「兄」がそのことが原因でヤクザに狙われ、
そのことが原因で、日本人女性の娘が巻き添えで流れ弾で死ぬのだが、
実はその「兄」が同棲していた日本人女性の夫で、戦後数年して帰国すると
妻が米兵と同棲していたため、「兄」と名乗っていて、娘もその「兄」の実の娘で
実業家も日本のヤクザも主人公を欺いていたので、主人公と「兄」こと夫と
殴り込みをして、実業家とヤクザの親分を討ち取るのというストーリーだが、
自分が知らなかったとはいえ、助力を求めたことで、日本人女性と「兄」こと
夫の娘を死なせたことで、夫の過去も未来も結果的に奪ったという、
償いようのないことをした責任感から、アメリカ人である自身も日本の文化に倣い、
自分の指を詰めるという話だが、そのように相手の文化を尊重して、
そのやり方で謝罪をするのだが、相手の文化に合わせて、自分の体の一部を切り取り
少しでも責任を取ろうとする映画が当時に作られていたにも関わらず、
その後のイラクなどへ相手への責任を考えもせずに侵略して
負担になると放り出すというのは、
リベラルで抽象的な価値を尊重するあまり、異文化の固有の価値への敬意が
失われてきた結果なのではないのだろうか?




「最下層女子高生 無関心社会の罪」 橘ジュン著

2016-11-10 00:05:29 | 日記
著者が関わった極度に生育歴に恵まれない10代から20代の女性の例が
数多く載せられているが、このような例を当事者と話し合い、
言語化し、思考できる関係を構築できるというのは、著者が
そのような生育歴、生活環境が在ることを認識して居るからなのだろう。
恵まれて育った大卒の心理士、医師ならば、そのような家庭や環境があることを
知らないので、話を聞いても何が起こっているかを認識できず、
話の最初で判らず、相手の家庭や生育歴で何が起きていたのか自体を
解るところまで、会話が進展しないだろう。
筆記試験中心で、ある程度恵まれていないと進学できないという教育制度は
実際に起きている事柄と、大卒の心理士、医師との社会に関する認識を
どんどん解離する方へ進めているのではないのだろうか?
これまでも臨床家が相手の状態を聞いても、生育歴、生活環境まで考えが及ばず、
「気にしすぎ」で済ませたり、眠剤や抗不安剤などを処方するのみで
相手の虐待されている状態や、家庭環境に介入せず、実質的な治療や援助を
せずに居たケースがほとんどではないのだろうか?
このような著作により、臨床家の視野が広がり、有効な対応が増えることを
願う他ないのだろう。