主人公の花が、黄美子の友人の映水(ヨンス)に携帯電話を渡され、使用料などのことを尋ねても、
気にせず使っていいと言われたときに、誰かが自分のために何かを用意してくれ、さらに、
自分が責任を負うべきものを代わりに引き受けてくれてたことに安堵と感謝を感じ、
何か守られたように感じる描写がありますが、実際に著者も、スナック勤めの母のもと、貧しい家に育ち、
親に守られた体験が少なかった様なので、似たようなことがあったのでしょう。
いかに生活インフラを支えられることが、貧しく生活に余裕がない人の大きな助けになるのかが判るところです。
この小説の舞台は2000年前後ですが、その後の年代の貧しい育ちの若年層を取材したものでは、
ノンフィクションライターの鈴木大介さんの一連の著作がありますが、そちらの方は更に過酷な暮らしが
取り上げられています。
コミック版の制作に参加した「ギャングース」の方は、中身は濃いですが、絵柄にクセがあるので
好き嫌いが分かれそうです。
最近では自身が脳梗塞になり、その後遺症で苦労したことを基に過去に取材した相手について
考察して書いた『貧困と脳』という新書を幻冬舎から出されています。
コミック「ギャングース」1~16巻
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます