マチンガのノート

読書、映画の感想など  

戦争する脳/計見一雄 平凡社新書

2020-05-22 09:08:53 | 日記

長年、精神科救急医療に関わってきた著者の書いたものだが、

第六章の「戦陣精神医学」の章が特に興味深かった。

米軍の経験と研究において、戦場でのメンタル・ブレーク・ダウンへの対応は、

「素早く近く」が何よりも重要で、それは日本の精神科救急医療でも同じとの事だったが、

今の日本で近く関わることが出来る医師は少なそうである。

学校での勉強が得意、というのと近く関わる事に関しては相性が悪そうである。

また、レイテ沖海戦での栗田艦隊の反転に関しては、戦後に様々な研究があるが、

栗田中将は当時、三日ほどほとんど寝ていなかったことから、本人の思考能力が

ほとんど停止していたのだろうと指摘は説得力があった。


ビリー・リンの永遠の一日/監督アン・リー 出演ジョー・アルウィン 

2020-05-16 23:14:25 | 日記

イラク戦争で撃たれた仲間を助けようとしたところの映像がニュースに取り上げられて、

その部隊の仲間とともに英雄扱いされる19歳の兵隊のはなし。

なんとも違和感を感じさせるのは、本国のアメフトの試合のハーフタイムショーなどにも

出演させられたりするところだろう。

主人公が助けようとした軍曹は努力の甲斐なく戦死するのだが、周囲はそのことで

主人公がどう思っているかも気にかけていないようだった。

本人たちが戸惑っているのに歌って踊る芸能人の後ろに登場させたりするところが、

文化的に理解できなかった。

砂漠の戦場での殺し合いと、きらびやかなアメフトのスタジアムを対比させたのが独特の

感じを出していた。

周囲もその軍人たちに敬意を示すのだが、人を殺した時の感じを聞いてきたりするので、

物事の捉え方がこちらとはかなり違うのだろうと感じた。

主人公はその中で戦地に帰りたくない想いを持つのだが、周囲はそのようなことも

想像していなかった。

物語の舞台は’04年なので、戦争をしているアメリカ本国の多くの人が無関心だったことが大きいのだろう。

ビリー・リンの永遠の一日

『ビリー・リンの永遠の一日』