浪漫飛行への誘(いざな)い

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イコンの傑作「聖三位一体」教会に返還~プーチンの思惑 

2023年06月07日 07時30分34秒 | 芸術

ロシアの伝説的イコン画家アンドレイ・ルブリョフが15世紀に描いた傑作「聖三位一体」が、所蔵されていたモスクワ市の国立トレチャコフ美術館から、ロシア正教会の総本山である市内の救世主キリスト大寺院に移され、4日公開されたという。その模様は、テレビでも紹介されていた。正教会モスクワ総主教庁が5月15日にプーチン大統領の決定で所蔵しているトレチャコフ美術館から同正教会に返還されること発表していたニュースは知っていた。タス通信によると、ロシア革命後の1929年に大修道院から同美術館に移された後、目玉作品の一つとして展示されていたようである。

総主教庁によると「聖三位一体」は返還後、救世主キリスト大寺院で1年間陳列された後、トロイツェセルギエフ大修道院に戻される予定という。プーチンはなぜこのタイミングで返還することにしたのかプーチンの思惑がちらつく。よほどプーチンがロシア国内でも行き詰まっていることを示すものともいえる。

トレチャコフ美術館を訪れたのは、2009年10月のことで、この「聖三位一体」の傑作も生で鑑賞した記憶がある。三位一体とは、「創造主 父なる神」「神の子 イエス・キリスト」「聖霊」は、唯一の上の3つのあり方で、本質的には同じものであるとする、キリスト教の教義のことであるというが、キリスト教徒ではないので、詳しくは知らないが、よく耳にする言葉である。



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特別展「東福寺」に行ってきました

2023年03月29日 07時41分38秒 | 芸術

上野の東京国立博物館の特別展「東福寺」にお花見を兼ねて行って来ました。東福寺は京都を代表する禅寺の一つで、九条道家の発願により、1243年、中国で禅を学んだ円爾を開山に迎えて創建された。東福の名前は、奈良の東大寺と興福寺になぞらえてその一字ずつをとったことに由来する。

まずは博物館内にあるホテル・オークラが運営している「ゆりの木」レストランで洒落たランチをとった。今までにも何回か利用しているが、平日でも混むことを予想し、開店一番乗りしたので、余計な待ち時間を省くことができた。開店30分後にはすでに待っている人がいたので、その人気ぶりがわかるというものである。

東福寺は、中世の面影を色濃く留める圧倒的なスケールの伽藍群で名高く、特別展はその寺宝をまとめて紹介する初めての機会である。国宝や重要文化財がずらり展示されていて、見どころ満載であった。画聖と称された絵仏師「吉山明兆(きっさんみんちょう)」が3年以上かけて、釈迦の弟子500人を描いた「五百羅漢図」全50幅(1幅に10人描かれている)の掛け軸の14年にわたる大修復が完成し、一挙公開さ人れたもので、今回の目玉となっている。行方不明となっていた幻の50幅目が展覧会直前にエルミタージュ美術館に所蔵されていることが判明し、その写真も展示されており、以前に復元した図との比較も大変面白かった。

もう一つの見どころは、壮大な伽藍の規模を体感できる特大サイズの作品群で、旧本尊(焼失したが、高さ15m位あったという)の2mを超える左手「仏手」や重要文化財の「二天王立像」等すべてが規格外で圧倒的なスケールを誇る。約90分かけてじっくり見たが、展示物の説明もしっかりしていて、わかりやすかった。事前に、解説のユーチューブを見ていたので、東福寺や吉山明兆のことや展示物の概要もしっかり掴めた。28日夜には、BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」でも取り上げてくれたので、周辺知識も増え、しっかり復習ができた。東京での展示は5月7日までだが、10月7日からは京都国立博物館に場所を移して開催されるとのことである。今回は、無料チケットを読売新聞からもらったが、国宝・重文の多さからも、2100円の入場料を払っても見る価値がありそうである。

東福寺といえば、紅葉の名所としても超有名で、2003年11月に紅葉狩りで訪れていたことを思い出した。紅葉のピークであったので、物凄い人の数であったが、人混みでも見る価値は十分ある。当初、行ったことのある紅葉の名所と今回の展覧会とが同じお寺であることを認識していなかったが、これで、東福寺については大分詳しくなった。

展覧会の後、上野公園の桜を鑑賞したが、まだ満開で十分楽しめた。それにしても歩いていて外国人が多いのにビックリした。コロナも収まりつつあるので、外国人観光客も少しはいるかなと思いきや歩いている人の半分は外国人ではないかと感じるほどの勢いであった。あいにくの天気で、今年の花見は最悪の状況になっているが、少しでも長く満開の状態が続いてほしいものである。

画像は、修復後の「五百羅漢図」の一部

事前学習動画(約12分): https://youtu.be/FeD-KKVQnkw


東福寺の紅葉

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都内で話題の仏像を訪ねる旅

2020年01月26日 19時55分55秒 | 芸術

1月26日、テレビ番組で話題になった都内にある二つの仏像を見る旅を試みた。一つは、12/16にTBSで放映された「1番だけが知っている」という番組で、「日本美術史上1番の奇跡の物語!サラリーマンがお小遣いで買った仏像が日本史上最高額のお宝だった!?」として紹介された運慶作の「大日如来坐像」である。この仏像は、半蔵門ミュージアムの常設展示作品でいつでも拝観でき、拝観料も無料であることを知り、今回訪ねたものである。ミュージアムは、やたら綺麗で、係員も通常の美術館の倍以上いる印象であった。真如苑という宗教法人が所有する仏教美術品を一般に公開するために設立した文化施設とのことである。実際見てみると、仏像にまつわる情報をしっかりと持って拝観すると何となくありがたみというか重みが出てくるのは不思議である。さすが、運慶の手になる仏像は、いい顔をしていて、見とれてしまうほどであった。この仏像にまつわる18分の映画も上映されており、知識を深めた。この大日如来坐像がメインの展示品であるが、常設展示として他に2~3世紀に作られたガンダーラ仏伝浮彫も複数展示されており、また、特集展示として、古代の楽器の復元楽器も展示されていた。

もう一つは、1/4にテレビ朝日で放映された「博士ちゃん~仏像博士12歳—初詣にご利益!国宝&珍仏像」で紹介された有名な仏像の内、滋賀県の長浜市にある正妙寺にある千手千足観音立像が上野にある「びわ湖長浜KANNON HOUSE」で3月15日まで特別に展示されているとの情報を得たので、覗いてみることにした。この仏像は、他に例のない「千本の足」を持つ観音像で、そのムカデのような姿はひと際目を引く。忿怒相で眉目をいからせ、口を開き、額には縦に第三眼を刻む。天冠台上に九つの小面が横に並び、中央には仏面が一段高く載る。何とも異様な姿で、江戸時代のものであるが、詳しくはよくわからないようである。こちらも入場無料であったが、展示品はこの仏像のみであった。こちらは写真撮影OKであったので、しっかりとその姿をカメラにおさめた。まさに、知る人ぞ知る稀有な仏像であった。仏像博士ちゃんに感謝したい。

写真は、大日如来坐像(運慶)と千手千足観音立像

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浮世絵大名画ミステリー 

2020年01月05日 08時04分26秒 | 芸術

 

1月3日、BS-TBSの「林修の浮世絵大名画ミステリーSP▼北斎、広重、歌麿、写楽…浮世絵の謎に迫る!」を興味深く見た。2時間近い番組だったが、引き込まれるように見てしまった。前半は、葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」の中の最高傑作と言われる「神奈川沖浪裏」にまつわるミステリーであった。北斎がこの最高傑作を描いたのは、なんと70歳過ぎで、そこに至るまでの軌跡を解き明かしてくれた。40歳頃から波の描画を研究し始め、挫折を繰り返しながら、努力を重ねて、その域に達したようである。70過ぎた者にとっては、勇気づけられるものがあった。晩年は、肉筆画をいっぱい書いていたようであるが、89歳の時に描いた「大鳳凰図」は、八方睨み鳳凰図ともいわれ、本堂(長野県の岩松院)の天井を実際に舞っているかのような迫力を持つ肉筆画である。また、90歳で亡くなる3ヵ月前に描いた「富士越龍図」という最後の作品も目を引いた。


後半では、歌麿の美人画に潜むミステリーや歌川広重の「東海道五十三次」の中でも最高傑作と言われる「蒲原夜之雪」にまつわるミステリーが紹介された。温暖な蒲原になぜあんなに雪を降らせたのか詳しく解説してくれた。蒲原の作品が描かれたと思われる場所は観光スポットにもなっており、何年か前に現地に行ったこともあるので、よけい興味を引いた。広重は、55枚(53プラス日本橋と京都)で一つの作品を作ったもので、朝昼晩、春夏秋冬等メリハリを付けていたので、蒲原の設定を冬の雪にしたようである。想像力豊かな広重は、すべてを見て回ったものではなく、想像力で描いたものもあるようである。我々を絵の中に引き込むように、まさに旅行ガイドブックになっているのである。当時、バカ売れして、新しい版木を使い、初摺と後摺で絵柄が変わっている作品があるのも面白い。


浮世絵に興味を持ち始めたのは、今から35年前、ドイツのフランクフルトに駐在していた時で、世界一の浮世絵収蔵を誇る酒井コレクションの方と知り合いになり、浮世絵展と摺りの実演を企画したことからである。海外での浮世絵の展覧会に積極的であったことを受けて、共催で実施したもので、いい経験ができたし、浮世絵にも興味を持つようになった。松本にある浮世絵博物館の屋根裏収蔵庫に入れてもらい、門外不出の浮世絵や春画を見せてもらったこともある。浮世絵展のお礼として、現代に摺った浮世絵を十数枚いただき、今でも我が家の居間や廊下の壁を飾っている。浮世絵は、ゴッホをはじめとして、外国の画家も強い関心を示し、彼らの作風に影響を与えたことも有名な話である。浮世絵を生んだ江戸時代の文化はすごかったと痛感する今日この頃である。再放送であったようであるが、とにかく知的好奇心をそそる素晴らしい番組であった。


画像は、北斎の作品の「神奈川沖浪裏」「大鳳凰図」「富士越龍図」及び広重の「蒲原」


YouTubeは、広重の「東海道五十三次」の55枚の作品  https://youtu.be/kQzNX-QfKO8

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浮世絵との出会い

2018年05月09日 21時03分02秒 | 芸術
ドイツに勤務していたある日、ちょっと変わったおじさんがカウンターに現れ、浮世絵の話をはじめた。ミュンヘンで展示会か何かをやっていて、その帰りだという。抱えた風呂敷の中に綺麗な浮世絵がいっぱい入っていて、見せてくれた。それから1年後位にまた現れ、浮世絵の展覧会の話になった。彼としては、フランクフルトで浮世絵の展覧会をやりたいが、協力してもらえないかということであった。

当時、オフィスの引越・改造で、展覧会を開催できるようなスペースができたこと、1988年に日本からドイツへの直行便の就航が予定されていて、様々なイベントが計画されていたこと、自分自身、浮世絵に興味があったこと等開催に向けての環境が整っていった。我が方の協力事項は、展覧会会場を無料で提供すること、ドイツ人・在留日本人への告知、浮世絵の摺り道具・浮世絵自体の無料搬送、関係者の宿泊手配(費用は先方持ち)等であった。

先方は、価値ある浮世絵を提供すること、摺りの実演を行うこと(ドイツでは初めて)、浮世絵の鑑定サービスを行うこと等であった。話はどんとん拍子にいったが、いざ実現しようとすると調整することがいろいろあり、大変といえば大変であった。

先方とは、長野県の松本市にある「日本浮世絵博物館」の館長(当時)で江戸時代から続く酒井コレクションの十代目の方で、海外での展覧会を何回も経験され、国際文化交流に尽力していた。酒井コレクションは浮世絵を10万点も収蔵する世界有数の博物館の一つである。

半年ちょっとの準備期間を経て、実現したのは、1988年11月中旬であった。当初、2週間の予定であったが、地元でも注目を集め、3週間に延長した。その間、ドイツ初となる摺りの実演も何回か行い、ドイツ人に人気を博した。鑑定してもらおうと浮世絵を持参するドイツ人もかなりいた。

この浮世絵展に出品された浮世絵は、すべて江戸〜明治時代に摺られたもので、高いものでは、1点で何百万円もするような作品もあり、保険をかけたほどである。また、浮世絵に傾倒したゴッホが描いた絵画のオリジナル作品も2点(ともに歌川広重)展示し、ゴッホの作品も印刷物であるが、オランダのゴッホ美術館から取り寄せ、比較展示し、注目を浴びた。

印刷物ではなく、現代に実際に摺った作品の販売も1点100マルク(8000円位)で行い、かなりの売り上げを得た。その一部の作品をお礼としていただいたので、今でも大事に保管し、我が家の壁に交代で飾っている。特に、美人画は、色鮮やかで我が家を明るくしている。
この浮世絵展の縁で、帰国後も何年か親しくおつきあいをさせていただいた。松本にある浮世絵博物館にも1990年にお邪魔し、屋根裏にある倉庫にも特別に入れていただいた。展示されていない作品が倉庫に埋もるほど収蔵されていて、とくに春画といわれる世には公開できない芸術作品の本物を拝見させてもらった。その色彩といい、その本物の素晴らしさは驚嘆ものである。ほとんどの絵師は、表の浮世絵と裏の春画の両方を描いているとのことである。例えば、東海道五十三次で有名な歌川広重は、色重という名で春画も多数描いているが、ほとんどの人がその素晴らしい作品を見ることができないのはとても残念であると嘆いておられた。今では、代替わりして、彼の息子さん達が帝国ホテル前と浅草寺参道で浮世絵のお店をやっている。松本の博物館は、孫の代の方が代表理事となって運営されているようである。

画像は、摺りの実演風景


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浮世絵の魅力

2016年01月25日 22時25分55秒 | 芸術

 

今から約30年前、フランクフルトで勤務していた時、縁あって長野県松本市にある日本浮世絵博物館の協力を得て、浮世絵の展覧会と摺りの実演を行う機会を得た。日本浮世絵博物館の収蔵品は江戸時代の豪商であった酒井家5代200年にわたる「酒井コレクション」が中心となっており、収蔵数ではボストン美術館よりも多いそうである。当時、酒井家は外国での展覧会を精力的に行い、浮世絵の普及を図っていたが、たまたまフランクフルトに立ち寄った際、我々に展覧会の開催がもちかけられ、1988年11月に実現したものである。

浮世絵には個人的には興味はあったものの、当初はドイツ人向けに展覧会を企画するなんてとても実現できそうもないと感じていたが、今から考えるととんとん拍子に話が進み、浮世絵の展示に加え、ドイツ初となる摺りの実演も行うことになった。日本からは、酒井氏と秘書と摺師の3人が来独し、1枚あたり1000万円を超えるような貴重な浮世絵も含め、20~30枚位の浮世絵を展示することになった。あまりにも高価な浮世絵については保険もかけ、毎晩展示終了後金庫に保管する体制をとったほどである。

約2週間の予定であったが、展覧会や実演のことが地元の新聞に掲載されたこともあり、連日多くのドイツ人が来場し、期間を1週間延長することになった。期間中、摺りの実演も何回か行い、多くのドイツが興味を持ったようである。この展示会にあわせ、浮世絵の無料鑑定サービスも行ったが、浮世絵を所有しているドイツ人が意外と多いのにビックリしたものである。

展示品の目玉の一つはあの有名なゴッホが模写したという歌川広重の作品2点の本物の展示であった。「名所江戸百景・亀戸梅屋鋪」と「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」の2点であるが、比較するために、ゴッホの作品のコピーもアムステルダムのゴッホ美術館から取り寄せて比較展示した。

江戸時代の作品と同じものを現代に彫って摺った浮世絵の販売も1枚100マルク(約8000円)程度で行った。印刷したものではなく、江戸時代と同じ手法で実際に彫って、摺ったものなので、それなりに素晴らしい出来ばえの浮世絵であった。展覧会終了後も暫くは販売を継続し、ベルリンの事務所オープンの際にもこれを借用して浮世絵の展示を行った。

酒井家の人たちとは帰国後も継続的にお付き合いをさせてもらっており、1990年には松本の日本浮世絵博物館にもお邪魔する機会を得た。印象的だったのは、関係者以外立ち入り禁止となっている大なき倉庫を見学させてもらい、そこにものすごい数の浮世絵が収蔵されていたことである。特に、大きなつづら数個の中に多数の春画が収蔵されていたことにも驚いた。本物の美しさは表現のしようもないが、酒井氏によると物が物だけに国内で展示する機会がないのが残念であると嘆いていた。海外で展示会をやることは可能だが、日本に持ち帰れなくなってしまうとも言っていた。

酒井コレクションとの出会いから浮世絵についての知識も大分詳しくなってきた。浮世絵の美しさは本物を見るとよくわかるし、ゴッホが模写したくなるのも頷ける。浮世絵は西洋の絵画にジャポニズムとして多大な影響を与えたが、その魅力は計り知れない。浮世絵は江戸文化の最高の傑作であると言えよう。

酒井氏から現代版浮世絵を十数枚いただいたので、今でも我が家のリビングや廊下の壁には歌川広重や葛飾北斎や写楽の作品を飾ってあり、時々作品の入れ替えも行っている。富嶽三十六景や東海道五十三次の風景画や歌舞伎役者から歌麿の美人画までどの浮世絵を見ても心が和み、江戸文化を身近に感じることができる。

写真は、「名所江戸百景・亀戸梅屋鋪」の広重の浮世絵とゴッホの模写 

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